ITライター上倉賢のAll About

IT系ライターによる日常

再生時間4000時間以上のYouTubeの新しい収益化基準で影響を受ける人とは

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YouTubeに動画をアップロードして収益を得られるYouTubeパートナープログラムの参加基準が変更になりました。

youtube-creators-jp.googleblog.com

2017年4月にも変更がありました。当時は、総再生回数1万回にならないと申請できない物でした。2018年1月16日に公表された基準では、過去1年間の総再生時間4,000時間以上、チャンネル登録者数1,000人以上になりました。

この件に関する翌ある質問は別途まとめています。

allaboutkamikura.hateblo.jp

収益化の基準を厳しくし、不正な収益化を未然に防ぐ

過去1年間の総再生時間が4,000時間以上なので、一時的にバズった動画で総再生時間が瞬間的に延びたとしても1年後にはその基準に満たなくなります。

このため、継続的に再生されているチャンネルで、チャンネル登録者数1,000人というある程度ユーザーに支持されているチャンネルが収益化の対象となります。

もちろん、これはYouTubeパートナープログラムに申し込めるようになる基準なだけで、認められるかはわかりません。

おそらく、収益化を申し込める基準を高める事で、不適切なYouTubeの利用を未然に阻止する意味があると思われます。

人間による審査には限界があるので、審査する数自体を減らし、審査の品質を高めたい意味もあるのでしょう。

新基準で影響が出る人とは

これによって影響が出てくるほとんどのパターンは、一般的に人気ではないジャンルのチャンネルを運営している方と、運営を真剣に行っていない方です。

チャンネル登録者数1,000人以上は、人気ではないジャンルではかなり厳しいハードルです。

例えば、料理ならほぼ全ての人が対象になりますが、ほとんど仲間がいないような特殊な趣味のチャンネルを運営している場合、インターネット上でも1,000人という登録者を集めるのはかなり難しいと言えるでしょう。

過去一年間の再生回数4,000時間というのは1ヶ月にすると2万分です。

1つの動画の平均再生時間は数分といわれています。仮に1つの動画の平均再生時間が2分とすると再生回数1万回となります。

これもあまり人気が無いジャンルのチャンネルでは厳しいですが、チャンネル登録者1,000名を狙えるジャンルなら、やり方次第で不可能ではありません。

もちろんやり方次第ですが、定期的にアップロードせず、再生回数が少ないような真剣に運営を行っていない場合は影響が出ます。

登録者1,000名以上が可能なチャンネルなら新基準もクリア可能

1回の再生回数1,000回の動画を月に10回アップロードすれば達成可能です。一般的にアップロードした動画はその後も再生されます。継続的に再生される動画をアップロードすればするほど、毎月のアップロード回数を減らしても過去1年間の再生時間4,000時間をクリアできるようになります。

登録者が必ず視聴するわけではありませんが、登録者1,000名のチャンネルの場合、数割の視聴は見込めるので、少なくともアップロードした動画で数百回の視聴は見込めます。

これ以外に検索などの外部からの流入があれば再生回数1,000回は高いハードルではありません。

これで継続的に新しい動画をアップロードをするだけです。

この場合、再生回数4,000時間をクリアするまで1年間程度かかりますが、そもそも初めから1回1,000回の再生回数になるわけではないので、この計算通りにいくわけではありません。

既に他のプラットフォームで人気の方がYouTubeチャンネルを作る場合を除くと、一般的には収益化の申請が出来るようになるまでは数ヶ月単位になるでしょう。

チャンネル登録者数を増やしながら徐々に再生回数も増やす活動を続けていけば数ヶ月で様子がわかってくると思います。

収益に時間がかかった場合、以前と比べて得られなくなる収益は

今までなら収益化できたはずなのに、今回の新基準で仮に1年間収益化できなかった場合、以前の基準と比較し、どの程度の収益を捨てることになるでしょうか。

前述した例では、1年間の再生回数は15万回程度になると思われます。1円の収益を得るのに再生回数10回が必要な場合、1.5万円の収益を得られなかったということになります。

収益を得られていたとしても、それほど大きな金額ではありません。

日本のAdSenseは8,000円が支払いの基準ですが、このあたりの金額を得られないなら振込もしばらくないので、収益化の基準に達成するまで時間がかかっても、問題はそれほど大きくないと言えます。

本当に問題になるのは

再生回数は多いが、チャンネル登録者が少ないチャンネルになります。

ニーズの高いジャンルで検索などで見つかりやすいような動画のチャンネルですが、実はこのようなチャンネルは不正されやすいジャンルです。

短期的に再生回数を稼げるので、不正に広告収益を得られやすいため、今回のようなYouTubeの新基準では厳しくなっています。

何がYouTubeが考える不正か、そうでないかはしっかり理解した方が良いでしょう。

新基準での注意点

この厳しい基準をクリアするために、登録者数を意図的に増やすサービスを使う方も増えるかも知れません。

お金を払って登録者数を増やしたり、再生回数を増やすサービスがあります。

しかし、このようなサービスを使った登録者数の増加はYouTube規約違反となり、YouTube機械的にチャンネルを停止させています。

また、Sub4Subという、相互にチャンネルを登録し合うサービスも規制の対象となっています。

不自然なチャンネル増加がある場合、収益化以前にチャンネル停止になるので注意しましょう。

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YouTubeの問題は安易な収益化と、問題を未然に防げない内部体制

YouTubeはアップロードした動画に広告を付けることで、クリエイティビティの欠片もないコンテンツで金を稼ぐことが出来る。

この収益化システムやYouTube内部の方針には問題があり、2017年から外部から様々な指摘が相次いでいる。

2017年から問題になっている広告主の離反問題

YouTubeではクオリティの高い動画に対して広告主がつき、収益を得ることでさらに上質な動画をアップロード出来るようにするというサイクルが理想だ。

実際にそうやって活動しているしっかりしたコンテンツを作成するYouTuberも多いが、一部で不正に利益を得ようとしている場合がある。

2017年春に問題になったのが、テロリスト、差別などに関する動画に広告が掲載されるもの。

特にイメージを重要視するような、YouTubeの主要広告主である大手企業がこれを問題視した。

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広告主向けのコンテンツフィルタ機能

この問題が明らかになると、動画の種類を分類出来るようなコンテンツフィルタを設定出来るようするなど、システム上で改善をしていったようだ。

その後に問題になったのが、一見子ども向け動画に見せかけた悪意のある動画。

子どもに人気のキャラクターが問題行動をする様な物で、大人が観ても気分が悪くなるような物が多い。

これが子どもに安心して動画を視聴させるためのシステムのYouTube Kidsで再生出来ていたという問題だ。

このような問題には、ここで使われたキャラクター名にちなんだElsaGate(エルサゲート)という名前までついている。

他にも、権利無視の動画、どこからかのコピーペーストで量産された動画、人気の動画を再アップロードなど多くの問題があるが、これらはユーザーがYouTubeのシステムの隙を突いて収益化し利益を得るような行為だ。

このような動画が形を変えてアップロードされるのはYouTubeで安易に金を得られるからだ。

YouTubeはこのような問題が出るたびに、収益化の審査など含めて全てを厳しくするような改善を繰り返している。

将来的にシステムがしっかりし、YouTubeにやる気さえあれば、問題の動画を投稿し、安易に金を稼ごうという者は減っていくだろう。

YouTube自体の問題

そもそもこのような問題が表面化するのは、現在のYouTubeの内部的な問題だ。

YouTubeには人気のチャンネルを優遇して取り扱う様々なプログラムが存在している。

これも本来は、クオリティの高い動画をアップロードしている人達へのサポートプログラムのような物だが、この中にどう考えてもおかしな物が含まれている。

例えば、2018年1月に話題になったローガン・ポールの自殺関連動画のような、単なる悪ふざけチャンネルもここに入っているという点。

悪ふざけのチャンネルはふざけたことをすればするほど、視聴者が喜ぶ。そもそも悪ふざけをしているような動画の投稿者にはモラルにかけている場合が多いため、将来的には度が過ぎる動画を投稿し社会的な問題となる危険性がある。

ローガン・ポールの件はまさにこれだ。

YouTubeはそのような潜在的に問題になる危険があるチャンネルでも、人気だということで特別扱いをしていた。

YouTubeは問題のあるチャンネルは停止する処置しているが、全世界で問題視されたローガン・ポールのチャンネルはそのままにしている。

そもそも度が過ぎた悪ふざけをしているチャンネルを特別扱いしていたということがおかしい。

チャンネル停止は間違った物も多く、間違えた停止に巻き込まれたまっとうなYouTuberは多い。本来は停止されるはずのないチャンネルが停止される事は相次いでいる。

しかし、今回のように特別扱いしているチャンネルはそのままという状態。

ローガン・ポール(Logan Paul)へのYouTubeの対応が明らかに - ITライター上倉賢のAll About

YouTubeは人気のチャンネルを特別扱いしていると批判されても仕方の無い対応をしている。

www.bloomberg.com

www.bloomberg.co.jp

この件でも内部では対策を検討しているようだが、全てが外部から指摘を受けて初めて動くような物ばかり。

今後も似たような問題が出てくるだろうが、指摘される前に内部でこのような問題を先回りして改善できない限り、同じ事を繰り返すことになるだろう。

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ローガン・ポール(Logan Paul)へのYouTubeの対応が明らかに

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YouTubeに悪ふざけ動画を投稿しているローガン・ポール(Logan Paul)氏に対しての非難が収まりません。

きっかけは日本時間で2018年1月1日に投稿された青木ヶ原樹海での自殺関連動画です。

allaboutkamikura.hateblo.jp

この件ではYouTubeにもSNSへのメッセージが多かったからか、Twitterで公開書簡を公開しています。

An open letter to our community:

Many of you have been frustrated with our lack of communication recently. You’re right to be. You deserve to know what's going on.
Like many others, we were upset by the video that was shared last week.

Suicide is not a joke, nor should it ever be a driving force for views. As Anna Akana put it perfectly: "That body was a person someone loved. You do not walk into a suicide forest with a camera and claim mental health awareness."

We expect more of the creators who build their community on @YouTube, as we’re sure you do too. The channel violated our community guidelines, we acted accordingly, and we are looking at further consequences.

It’s taken us a long time to respond, but we’ve been listening to everything you’ve been saying. We know that the actions of one creator can affect the entire community, so we’ll have more to share soon on steps we’re taking to ensure a video like this is never circulated again.

https://twitter.com/YouTube/status/950847377816113153

ここでは自殺関連の動画が問題だとしているようで、日本での迷惑行為全般については特に触れていません。

日本を問わずに行っている迷惑行為についての見解も知りたいところです。

www.polygon.com

さらに、PolygonによればYouTubeでのいくつかの対応もしているようです。

Googleは登録者が多いなどのYouTubeのいくつかのチャンネルをGoogle Preferrdとしてパッケージ化して広告主に販売していたようでローガン・ポールもここに入っていたが、外す。

YouTube Red (YouTubeの有料利用者向けサービス: 日本では未対応)での映画プロジェクトは保留。

チャンネル自体は削除するようなことはしないが、チャンネル登録者数が多いYouTubeチャンネルへの優遇措置などは止めるような対応のようです。

この対応が全てかどうかはわかりませんが、このような悪ふざけチャンネルこそ「収益化の停止」や「ほとんどの広告主に適さない」といった厳しい処置をすべきだと個人的には思います。

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キーノートはストリーミングが楽、今後は展示会もVRと思ったCES 2018

ラスベガスで年初に行われるCESに実際に行くと、とにかく大変だ。

展示会だけならたいしたことは無いが、開幕前に行われるキーノート、プレスカンファレンス、プライベートイベントなどにハシゴしようとすると、日本で満員電車にもまれながら山手線内をあちこち移動するくらいの時間と疲労を経験することになる。

ラスベガスは、カジノホテルの隣に行くだけで、かなりの時間と労力が必要だ。

CESで様々なイベントに出席する場合、1日でカジノホテルやコンベンションセンターを数件行ったり来たりする必要がある。

例えばマンダレイベイからラスベガスコンベンションセンターベネチアン、シーザースパレス、サンズエキスポ、MGMみたいなルートを、朝8時から夜10時くらいまでみたいな日もある。

東京でいえば、池袋、秋葉原、渋谷、四谷、品川、新宿みたいな移動が、早朝から夜まであって、山手線と地下鉄を使おうと思ったら事故で止まってて使えない上に、どこも渋滞みたいな感じ。

普段なら、車やモノレールで行けばすぐだが、このイベントに20万人集まるらしく、渋滞や各種待ち時間がひどく、ラスベガスコンベンションセンターからベネチアンへの移動に1時間かかることもある。

そもそもラスベガスコンベンションセンター内のどこかによって、車やモノレールまでの距離も変わる。

とにかく、移動にコストはともかく、時間がかかりすぎる。

キーノートはストリーミング

こキーノートやプレスカンファレンスのような近年ストリーミング配信される物は、実際に行かないで配信を見る方が楽なのだ。

実際には、その場所に行かないと空気感を含めた体験は出来ないが、場合によっては2時間前には並んでいないと満員で入れない物もあるので、その待ち時間含めて時間がかかりすぎて、効率が悪い。

そのため、空気感などは二の次でストリーミングの方がいいと言うことになる。

実際に現地に行っている場合、キーノートなどの後に、体験エリアを用意していたり、担当者と話が聞けるような物のみ行き、それ以外はストリーミングで視聴というのが、賢い参加方法だ。

ただし、そのストリーミングもまともな場所で観ないとネットが遅くて使い物にならないというパターンもある。

展示会はVRの時代へ

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これからはこの体験エリアや担当者との話も実際に行く必要が無いかもしれない。

VRでの展示会体験をキーノートでデモしたのがCES 2018のインテル

展示会場をVRで体験するようなデモをしていた。

これなら、一般的な事はVR内で自動に説明して、詳しく聞きたい場合だけ世界のどこかにいる担当者につなげるみたいなことも簡単にできそうだ。

とはいいつつ、インテルが最後に実演したのがShooting Starというミニドローンを100台飛ばして光の演技をするような物。

これはベラージオの噴水でもやるようだが、実際に行かないと体験できない物も残り続ける事だけはわかった。

www.intel.com 

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