ITライター上倉賢のAll About

IT系ライターによる日常

SIMフリーこそがこれからのスマートフォンの本命?

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偶然にもソニーモバイルのXperia Z4と、ASUSのZenFone 2が2015年4月20日に両社から日本市場向けに発表になりました。

Xperia Z4は日本の各キャリア向けに販売される、ソニーモバイルのハイエンドスマートフォン

ZenFone 2はSIMフリー市場向けに提供される、ミドルレンジからハイエンド向けのスマートフォンです。

それぞれ異なる市場向けの製品ですが、最近の日本のみならず世界的な流れを象徴した発表となっています。

各社が発表している製品は

ZenFone 2は2015年1月にグローバル向けに発表されており、一部地域ではすでに販売もされています。地域毎に提供されるモデルは異なり、200ドル程度のミドルレンジから400ドル程度の低価格なハイエンドモデルが用意されているようです。
日本ではハイエンド指向の製品が提供されるようで、低価格向けには当面併売される去年販売されたZenFoneを提供していくようで、SIMフリーで展開されます。

一方でXperia Z4はハイエンドの中でもフラグシップの最上位モデルで、日本での発表が世界初となっています。今後は各国でも販売するのでしょうが、日本の大手通信キャリア向け製品が中心となります。

戦略が全く異なるASUSソニーモバイル

これはASUSソニーモバイルの戦略の違いが大きく現れています。

ASUSは、比較的低価格な製品からハイエンドまで、画面サイズ違いモデルはありますが、1つのモデルでバリエーションを増やし、ミドルレンジからハイエンドまで、超低価格を除いてほとんどのユーザーの需要にグローバルで答えられるようになっています。この戦略は年々強化しています。

一方で、ソニーモバイルはモデル数が増えながらも売上げが思ったようにいかなかったために、全体的なモデル展開の見直しをしています。

究極はアップルのようなごく少数のモデルなのでしょうが、すでにグローバル市場で販売されているモデルも多く、数年かけてラインナップの見直しをするようで、その第1弾のフラグシップ版がXperia Z4と見ていいでしょう。

このため、ASUSは今回のZenFone 2アグレッシブだが、ソニーはメイン市場の日本ではハイエンドモデルを出す物の、海外市場や他のモデルの展開は未定というような状況になっています。

今後の市場を考える

日本では、最近になってSIMフリーモデルをMVNO契約で利用するのも現実的な選択肢になっていますが、大手キャリアによる長期契約のキャッシュバックによる購入がまだまだ多いです。

このような市場はグローバルでも一部にありますが、SIMフリーによるMVNO契約や自分でSIMフリー機種を持ち込むBYOD(Bring Your Own Device)やBYOP(Bring Your Own Phone)契約も増えつつあります。

キャリアのキャッシュバックによる販売や、1000ドル程度のフラグシップモデルは、iPhoneとそれ以外で大きく市場が分かれています。それ以外の市場はSamsungのGalaxyやソニーXperiaやその他にも何社かあり、競争はかなり激しいです。

さらに、500ドル前後のミドルレンジ機も増え、ZenFone 2のように400ドル程度の低価格なハイエンドモデルも続々と登場しています。

世界的に現時点でASUSスマートフォンはそれほどのシェアがあるわけではありませんが、価格も含め製品も魅力的なので、シェアを伸ばすのは確実でしょう。一方でXperiaはそれなりに販売数はありますし、シェアも比較的高いですが、競争関係が激しくなっており、従来と同様というわけでは行かなそうです。

何にしろ、魅力的な製品さえ出てくれば、それを認めてくれるユーザーは各市場にいるわけで、Xperia Z4はソニーブランドが強力な日本ではそれなりに売れるでしょう。

しかし、SIMフリーは年々増えており、ZenFone 2のような製品が日本でも爆発的に増える可能性もあります。こうなると1年から2年程度で市場環境が一気に変わってしまう可能性すらあり、今回の件の旧来型ビジネスの延長のソニーモバイルと、新市場向けのASUSは象徴的な意味を持っていると言えます。