現在世界中で大ヒットしているThe Martian(邦題オデッセイ)は、宇宙サバイバル物としてゼロ・グラビティ(原題Gravity)についで楽しみな作品です。日本での公開は2016年2月ですが。
この映画の原作は「火星の人」という小説ですが、新しい時代の売れ方をした小説しても注目です。
一般的に、新人の小説は賞に応募したり、出版社に持ち込んだりして、それが認められれば雑誌に掲載されたり、本になったりします。書くことは誰でも出来ますが、それを他人が読めるようにするまでの道のりは非常に厳しい物がありました。
最近では携帯小説サイト等の各種インターネットサービスが普及しており、誰もがこのようなサイトに自分が書いた小説を投稿できるようになりました。
しかし、ここでヒットして注目され、紙の本として流通するようにそこから発展していくことは非常にまれです。されたとしても、日本では携帯小説というようなラベルが貼り付けられ、一般の小説とは別扱いになっていることも多いようです。
一方で、アマゾンは電子書籍を自分で出版し販売できるKindle Direct Publishingというサービスを世界中で展開しています。こちらも少数の成功事例が見受けられますが、まだまだヒットしたものは数えるほどというような状況でしょう。
そんな中で、ハリウッド映画の原作となった「火星の人」は、Amazon等を活用した新しい時代の大ヒット小説の代表となろうとしています。
この小説は元々は、作者のアンディ・ウィラー氏が2011年に自分のWebサイトに掲載していた無料で読める小説でした。
この小説をKindle版で読みたいというファンの要望に応え、最も安い有料価格の99セントに設定してAmazonで電子版として販売しました。すると、3ヶ月で3万5千部が売れ、大ヒットとなりました。
このヒットが引き金となり、Crown Publishing Groupから紙書籍版、映画化へと繋がっていくことになります。
ヒットした最大の要因は作品自体が面白いということだと思います。うまく認められれば、この作品のような展開になる良い事例となりましたね。