ITライター上倉賢のAll About

IT系ライターによる日常

仮に東芝・富士通・VAIOだけで統合しても世界規模は小さいまま

日経新聞を初めとして、日本の一流マスメディアが2015年12月3日に、東芝富士通VAIOのPC部門の事業を統合する交渉に入ったと報じました。

www.nikkei.com

www.yomiuri.co.jp

www.asahi.com

http://mainichi.jp/shimen/news/20151204dde001020070000c.html

東芝は会計不祥事、富士通はPC事業の分社、VAIOは再建中という状態で、これら3社の事業統合自体の可能性は低くはないでしょう。

しかし、各社の世界シェアは大きくはなく、この事業統合は小さい物同士が統合してちょっとだけ大きくなるだけだと言えます。

統合することで、国内シェアトップになるとしている一流メディアもあり、計算上は間違っていませんが、世界市場から見ると小さすぎて話になりません。

2014年のPC出荷台数は約1,500万台ですが、世界のPC出荷台数は約3億台です。

日本国内のPCマーケットは世界市場の5%程度でしかなく、国内のシェアがどうなろうが世界シェアにはほとんど影響を与えません。

PC Leaders Continue Growth And Share Gains As Market Remains Slow, According to IDC - prUS25372415

Gartner Says Worldwide PC Shipments Grew 1 Percent in Fourth Quarter of 2014

2014年 国内クライアントPC市場実績値を発表

IDCのデータで世界シェアで1位のレノボ、2位のHP、3位のDELLを合わせるとシェアは50%となり、Acerの7.8%、Appleの6.4%を加えると合計で65%です。

IDCの2014年のデータでは、東芝は1,256万台、富士通は510万台なので、合わせても6%以下となります。5位のアップルはギリギリ届きそうにもありません。もちろん、VAIOを加えてもです。

PC事業の統合では規模を拡大し、調達力を高めることが重要な点になりますが、この部分ではほとんど影響を与えません。

本当にPC事業を統合し、利益が得られる事業を目指すなら、ある程度のマーケットシェアが得られるくらいとなる、海外の企業との事業統合も必要となるでしょう。

そもそもPCとは何かという問題がありますが。

1256 510

参考

2014年の国内PCマーケットシェア

ガートナー

NECレノボ 25.7%
富士通 18.9%
東芝 12.1%
VAIO 1.6%

IDC Japan

NECレノボ 26.3%
富士通 26.3%
東芝 12.2%
VAIO 数%

2014年の世界PCマーケットシェア

ガートナー

Lenovo 18.8%
HP 17.5%
Dell 12.8%
Acer Group 7.9%
Asus 7.2%

IDC

Lenovo 19.2%
HP 18.4%
Dell 13.5%
Acer Group 7.8%
Apple 6.4%