ITライター上倉賢のAll About

IT系ライターによる日常

Google Street Viewが犯罪を助長しているという人がいるので調べてみた

ネットでみていると、次のような主張をする人がいます。

Google Street Viewでどこでも街中の状況がわかるようになったので、住宅窃盗犯が簡単に下見できるようになった。

Google Street Viewは犯罪を助長している。

ということは、このサービスによって犯罪が増ているのでしょうから、警察庁の統計を調べてみました。

今回調べたのは全国の重要犯罪・重要窃盗犯の認知件数。

警察庁資料によると

重要犯罪・重要窃盗犯 治安情勢を観察する場合に、その指標となる以下に掲げる犯罪をいう。
重要犯罪とは、殺人、強盗、放火、強姦、略取誘拐・人身売買及び強制わいせつをいう。
重要窃盗犯とは、侵入盗、自動車盗、ひったくり及びすりをいう。 

 ということなので、Google Street Viewが犯罪を助長しているなら、重要犯罪、重要窃盗犯がこのサービス開始から増えていることになります。

Google Street Viewがスタートしたのはアメリカからで2007年から。日本では2008年から一部都市で始まりました。

それから数年で広がり始めたので、犯罪を助長しているなら2010年頃から重要犯罪が増えている事になりますので、データを見てみます。

2001年

重要犯罪 21,530
重要窃盗犯 443,502

2011年

重要犯罪 14,144
重要窃盗犯 169,653

2018年

重要犯罪 10,544
重要窃盗犯 76,574

グラフにするとこうなります。

f:id:AllAboutKamikura:20191217204547p:plain

日本における重要犯罪の統計

このグラフの黄色と緑の住宅対象窃盗、自動車盗は、赤の重要窃盗犯の中に含まれる数字です。

つまり、ここ15年ほどで犯罪自体が減少しており、Google Street Viewが犯罪を助長しているとは言えません。

減少率が低下している可能性もあるかもしれませんが、犯罪自体が減少しているのでGoogle Street Viewが犯罪を助長しているとは言えないのではと思われます。

この2002年からの犯罪の減少を

ci.nii.ac.jp

こちらの論文では少子化の影響などと分析しています。

www.bloomberg.co.jp

こちらの記事では景気回復の影響としています。

今回は毎年の資料から手入力でデータを入力したが、そんなことをする必要も無く、警察庁の長官官房が平成30年の資料をまとめていた。

https://www.npa.go.jp/news/release/2019/H30_hanzaijosei.pdf

ここでは犯罪減少について

近年の犯罪情勢は、総数に占める割合の大きい罪種・手口を中心に刑法 犯認知件数の総数が継続的に減少しているものの、必ずしも当該指標では捉えられない 情勢もあり、依然として予断を許さない状況

とまとめています。  

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