ITライター上倉賢のAll About

IT系ライターによる日常

レジ袋の使用を止めるとプラスチックの消費量、原油の使用量にどう影響するか

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プラスチックの削減が声高に叫ばれている状況です。
レジ袋、ストロー、スプーン、弁当容器などでのプラスチックの使用を減らそう。石油資源の使用を止めよう、最終的に海洋流出してしまうのを止めよう、焼却するときの二酸化炭素削減などが目的です。

プラスチックの原料で、将来は枯渇する事が確実な石油資源の保護、現時点で問題になっているゴミ問題の解決のために使用を減らそうと言う動きです。短期的な利益、短期的な利便性で文句を言う人はいるかも知れませんが、資源保護や環境問題に異議を唱える人というのはいないと思います。

実際に日常生活で使用するプラスチックを減らすと、何にどのくらい影響するのでしょうか。

仮にレジ袋だけで計算してみます。

レジ袋は高密度ポリエチレン製で国内生産量は年間90万トンほど

レジ袋はポリエチレン製です。
ポリエチレンは大きく分けると低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンがあります。低密度ポリエチレンはLDPE、高密度ポリエチレンHDPEなどとも表記されますが、レジ袋に使われる高密度ポリエチレンの国内生産量は年間90万トンほどです。

日本で使われているレジ袋は、日本で製造する日本で製造されたポリエチレンから作られれる場合、海外で製造されたポリエチレンを海外でレジ袋にして輸入した場合など、製造方法、輸入方法はいくつかあります。
今回は日本で全て製造していると仮定します。

1人1日10g削減すると年間何トン削減できるか

仮に1人が1日10g使用を減らすと、1億人が1年間で365,000,000,000g削減できます。つまり36.5万トンの削減が出来ます。

日本の高密度ポリエチレンの生産量が年間90万トンとすると36.5万トンは41%になります。高密度ポリエチレンだけで見ると1人1人が少しずつ頑張ればかなりの高密度ポリエチレンの削減につながります。

高密度ポリエチレンだけでなく全てのプラスチックで計算すると、国内のプラスチックの年間生産量は約1,000万トンです。プラスチックの削減量は4%となり、プラスチック全体で見ると割合はかなり減りますが、それでもかなりの削減量です。

輸入している原油量で計算してみる

原油から作られる石油化学製品の中で、プラスチック(合成樹脂)の割合は63%なので、先ほどの4%は石油化学製品全体からの削減率は2.5%になります。

日本の原油の輸入量は年間1.7億キロリットル前後ですが、この中で石油化学製品が占める割合は26.5%です。36.5万トンのレジ袋を削減すると、輸入する原油の0.7%を削減できる事になります。

原油の使用量を0.7%減らす他の方法としては、原油輸入量の30%の用途がガソリンなので、全てが車に使っていたとすると、車の燃費を3%改善すると0.9%原油量の削減につながります。

おそらくレジ袋を減らすよりも他の部分を大幅に改善した方が、原油の使用量や二酸化炭素の排出量は減るでしょう。

しかしプラスチックごみの削減は、プラスチックの使用を減らすしか方法はありません。

各種データはJPCA 石油化学工業協会の資料より。
ザックリ計算しているので数字は所々間違っているかも知れません。特に原油とナフサの輸入量あたりで根本的な間違いをしている可能性があります。