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完成度の高いROG Ally登場もポータブルゲーミングPC市場はどうなる

ビジネス、クリエイティブ用途など様々な用途で必須なPC市場は、年間3億台程度が出荷されているが、2020年頃から数割単位で出荷台数が上がったり下がったりしており、安定した市場になっていないし、成長も鈍化もしくは、今後の伸びが期待されない市場になってしまっている。

そんな中で、成長し続けているカテゴリがゲーミングPC市場。その中でもゲーミングノートPC市場は伸びている。その要因となっているが、ゲーミングノートPC向けのGPUの性能が必要十分になってきたことなど、複数考えられる物の、PCでのゲームが市場に受け入れられている事が最も大きいのではと個人的には考えている。

そんなゲーム自体の人口で最も大きいのが、スマートフォンで遊ぶポータブルな環境でのゲーム。
スマートフォンの年間出荷台数は13億台程度で、こちらもこれ以上の成長は見込まれない物の、ゲームを遊べる環境の市場規模自体は4倍程度となっている。

つまり、ゲームを遊ぶハードウェアだけで考えると、PCに比べるとスマートフォンは4倍の市場規模になるが、単純には比較できない。
PC向けのゲームはゲーミングPCのように高性能なGPUの搭載が事実上必須で、スマートフォンはある程度の製品でゲーム自体は問題なく楽しめる。

つまり、スマートフォンでのゲームはほとんどの方が気軽に楽しめる物の、PCでのゲームはしっかり準備しないと遊べない特殊な物という位置づけで、PCゲームの市場規模はそこまで大きくはない。

そんなPCでのゲーム関連で、ノートパソコンより気軽に遊べると最近一部で注目されているポータブルゲーミングPC。

ポータブルゲーミングPC

ポータブルゲーミングPCとは、小型の画面の左右にコントローラーがついた、基本的にゲーム用のPCのこと。Nintendo Switchのような見た目の物が多い。バッテリー駆動するので、持ち運んで遊ぶことも可能。
PCなのでOSとしてはWindowsがそのまま使われており、一般的なオフィスソフト等も問題なく動作するし、ゲーム自体も問題なく遊べる。

ROG Ally

完成度の高いROG Ally

ASUSが2023年6月に発売するROG Ally(アールオージー・エイライ)は、開発に5年間かけたと言うだけあり、筐体、コントローラー、内蔵アプリの完成度が高い。
さらに、使用しているCPU、GPUAMDRyzen Z1シリーズで、これも最新世代の製品が採用されている。このRyzen Z1はPC向けの最新世代製品のRyzen 7040シリーズと基本的に同じで、ポータブル製品向けにオプティマイズした物で、低消費電力とゲームのパフォーマンスのバランスが優れている。

ROG Allyは、ポータブルゲーミングPCの盛り上がり、開発タイミング、適切なCPU、GPUなどがタイミングよく重なった製品となっている。

ポータブルゲーミングPC市場はどうなる

物としてはよく出来ているROG Allyは価格もこなれており、ゲーム向けにパフォーマンスが高いモデルでも109,800円。
パフォーマンスは若干下がるが下位モデルでも89,800円。キーボードなどが付属していないし、ディスプレイが7インチと小さいので、そのままだとPC用途では難しいが、一般的なオプションでキーボード、マウス、ディスプレイを接続できるので、PCとしても使用も可能。

PCとして使うのも問題なく、ゲームも楽しめるPCが11万円程度。

製品自体の完成度は高い、価格もこなれており、小型のポータブルPCが欲しい方、気軽に持ち運べるゲーミングPCが欲しい方には注目だ。しかし、この製品の真のコンセプトのポータブルゲーミングPC目的として購入する人がどのくらいいるのだろうか。

NECのポータブルゲーミングPCコンセプト

2021年にはNECがポータブルゲーミングPCのコンセプトモデルを公表しているが、ASUSのような大手メーカーがこの市場に参入するのだろうか。

ゲーミングPC市場自体は盛り上がっている物の、この市場がどうなるかはまったくわからない。

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