CEATECは日本メーカー中心とした各種電子部品など、各社の要素技術を直接確認できるのが注目ポイントだと思っています。
電子デバイス関連のブースは年々縮小傾向にあるようですが、2024年のCEATECではどうなのでしょうか。
様々な注目製品やサービスがありましたが、その中で勝手に注目したものをいくつか紹介します。
minimal FAB
基本的には各社が開発した最新の電子部品とそれを使った応用例などの展示が基本です。
その電子部品自体の製造ができる minimal FAB という半導体の製造が出来るシステムがありますが、ここがCEATECに出展していました。
1/2インチウェアの半導体の各製造工程が小型の冷蔵庫くらいのサイズで収まっており、この機器を並べれば半導体を製造できるのが特徴だそうです。
通常の半導体工場は、巨大な建物にクリーンルームなど、建物など様々ところでコストがかかりますが、minimal FABはクリーンルーム不用で、電気と水など基本的な物だけを用意すれば半導体の製造が出来るということを、展示会場でデモしていました。
実際のデモでは、1/2インチウェハに、塗布、露光、現像するまさに半導体製造っぽい事を展示会場で15分程度で行うデモでした。
TDK AR/VR向け直接網膜投影モジュール
TDKの現行のAR/VR向け直接網膜投影モジュールはフルHD画質に対応しているそうで、これでも十分きれいな画質ですが、4K画質にするためには、現行のモジュールでは限界があるそうです。
網膜投影はブラウン管の走査線のように投影しますが、現行の電流切替では4K画質は不可能で、それを実現できるのがニオブ酸リチウム薄膜を使用したモジュールだそうです。
これを使えば光の3原色を実現できるというデモを展示会場で行っていましたが、光の点が見えるだけでした。
これをAR/VR向けのモジュールに1年後には出来るような事を展示会場では説明していたので、網膜投影方式の製品の普及も近いのかも知れません。
ピエゾ素子を使った骨伝導モジュールも薄くて今後の骨伝導製品として注目です。
Xacti ウェラブル向けカメラモジュール
旧三洋は映像ソリューションのXacti株式会社になりましたが、ウェアラブル製品向けのカメラモジュールを展示していました。
画質が高いのはもちろんですが、手振れ補正、回転なども補正する高性能なカメラを出展し、今後のウェアラブル向け製品でより高画質なカメラが搭載されていくことがわかります。
NEDO 1000量子ビット超の量子コンピュータ実現へ
量子コンピュータでは絶対零度に近い温度まで量子ビットを冷やす必要がありますが、そのためには配管、コネクタなどの部品の開発も必要だそうです。
NEDOブースではNEC、産業技術総合研究所が1000量子ビット超の量子コンピュータのモックアップとして、そういった課題がある事をわかりやすくしています。
村田製作所 リチウムイオンバッテリ特性・劣化診断
リチウムイオンバッテリーの充電時の電圧を測定することで、正極か負極のどちらに問題があるかなどもわかるソリューションを出展していました。
バッテリーに搭載する小さなモジュールではなく、充電時の電圧を測定して、そのデータをクラウドに送って分析することで予想する物です。
リチウムイオン電池の劣化状態などを比較的簡単に調べられるソリューションは今後必要とされる場面が増えてくるでしょうから注目です。
IPA Immersive Music Experience Live Anywhere
各社が自社の取り組みを工夫をこらして展示しますが、IPAが行っていたのは、Apple Vision Proを活用したIPAの取り組みを紹介するブースです。
Apple Vision Proを装着して、建物中を歩いて、各所に設定された説明を確認したりする、現実とVRを融合したデモです。
最後は、海辺に入りますが、実際には水が張られたプールのような所に足を踏み入れるだけですが、海にいるような感覚になるなど、どこからどこまでが現実かVRかがわからなくなりました。
このデモ体験自体がなかなか興味深い物になっていました。
通常の体験とは全く異なるため、今後はこのようなデモが各地で体験できるようになるのではと思います。
リンナイ 水素調理
電気自動車用として水素の活用が広まっていますが、その水素自体を他の用途にも使おうとする動きがあります。
その一つが、水素を直接燃やして料理に使うというものです。
水素を燃やすこと自体は、水素で発電して電気で調理する物と異なり、直接火を使うもので、それ自体の意味を考え出すと、火を使うという文化的、精神的な領域まで入ってくる問題です。
そんなことはともかく、水素を燃やすということはメタンガスなどと異なり二酸化炭素が排出されないなど様々な特性があることにも注目です。