Google Street View関連の年次サミットが、2017年5月10日から11日にかけて東京で行われた。
2016年にアナウンスされたGoogleによるStreet View Editorの公開終了は、関係者に動揺が広まった。その代わりにどうなるかというとAPIが提供され、インドアビューの編集は外部ソフトを利用する形になることが今回の目玉でもある。
Create your own Street View imagery with new 360 cameras
Googleに頼ること無く、外部開発者によるStreet View関連サービスはより充実していきそうだ。
ここでは、Street View関連サービスに必要になる、撮影するための360度カメラを考えてみたい。
360度撮影の始まり
歴史的経緯はよく知らないが、360度のパノラマ撮影自体は2000年代に、順次撮影した複数の画像をステッチングするところから本格化していったようだ。
その後、Googleが360度にカメラを配置し、1度に複数枚撮影して画像処理するお手製のカメラを使いGoogleマップを組み合わせた、道路の360度風景画像を2007年に公開した。
一発で360度撮影できるカメラの登場
その後、360度に近い撮影が出来るカメラはいくつか登場したが、一発で本当の360度撮影できるカメラとして登場したのがRICOHのTHETAだ。
その後、様々なメーカーからも似たような製品は続々と登場している。
2017年からの360度カメラのトレンドは
RICOHのTHETAが次に出す製品は、4Kビデオに対応する。これで動画でも今時のディスプレイでとりあえず必要十分な解像度となる。
こうなると、一発で撮影できる360度カメラも静止画なら4K解像度以上は当たり前で8Kクラスへ。HDR撮影も可能で、3D撮影もより手軽になりそうだ。ビデオは4Kが当たり前になりつつある。
一眼レフによる複数枚撮影でのステッチング前提撮影の場合、4K程度では話にならない。一般的には8K以上、VRを考えるとさらに高解像度の12K程度は必要になるだろう。
専門のカメラでは、単に撮影するだけで無く、付加機能もついてくる。
例えば距離測定も可能になると、室内なら空間の広さ、物体のサイズ等が認識出来るようになり、VRへの応用が簡単にできるようになる。実際に登場する各種製品
ここではGoogle Street View Summit 2017 Tokyoでブースを出したり、紹介された製品を紹介する。 #svsummit 2017
一般向け360度カメラの動向
一般向けで一番手軽なのはスマートフォンに接続するカメラだろう。
GIROPTIC iOはiPhoneとAndroidに対応する360度カメラ。静止画、ビデオ、ライブ配信に対応しサイズ含めて最も手軽に利用可能だ。
Insta 360もある。
スタンドアローンで一発撮影できるカメラ
もちろんRICOHのTHETAも次に発売する物では4Kビデオや3D音声にも対応。
スマートフォンと連携したり、少し大きいが、スタンドアローンで撮影できる物で、画質が良い物として製品はいくつか出てくる。
SamsungのGear 360 2017もその中の1つだが、自社のGalaxy(とiOS)での使用を前提にしており、スマートフォンを含めた戦略商品になっている。
これらの製品よりも高機能な物としてはGoProからFUSIONも登場する。360度を一発で撮影できる本格的なアクションカメラになりそうだ。
HumanEyesのVuze Cameraはポケットに入る3D撮影も出来るカメラだ。VRを考えると3Dの方がリッチなクオリティになるが、3D撮影も手軽な製品として重宝しそうだ。
高画質や付加機能もついた製品も続々と登場
より高品質な製品としては、今後も一眼レフでの撮影の需要はあるだろうが、撮影に加えてレーザー測量するiGUIDEの製品もある。
不動産の高品質な映像に加えて、実寸法もユーザーが確認可能で、よりリッチなコンテンツを提供可能となる。
NCTechのIris360 Proは90Mピクセル(13,800x6,900)の高画質を一発で撮影できるカメラだ。
こちらも高画質需要向けのカメラで、ここまでの画質が一発で撮影できるなら、一眼レフによる撮影というのも終わりを迎える可能性がある。
360flyは高画質ということでは一般的なスタンドアローン製品と同様だが、360度撮影が可能なアクションカメラで、4K対応版も登場し、各種オプションや加速度計などと組み合わせたサービスとして非常に興味深い。
このような360度カメラは比較的早めに展開していた日本や欧米だけでなく、Kenxenのような中国系企業も参入している。価格面でもより一般化していきそうだ。
屋外での高画質な撮影も
従来のストリートビューの撮影では、Googleに頼むか自分でどうにかするしか無かった。
車の上に取り付けて撮影するような用途含め、Sphericam、Z CAM、Insta 360のように、多くの製品やサービスが登場している。
自分の敷地内のストリートビューを撮影するようなこともより一般化していきそうだ。
よりリッチなコンテンツへ
Matterport、InsideMapsのようなよりリッチなコンテンツを撮影できるカメラ、サービスもある。
Matterportは撮影しながら搭載したセンサーの情報を組み合わせ、3Dのフロアプラン撮影も可能。もちろんStreet Viewとの連携も可能。
insidemapsはスマートフォンで自動撮影できるInsideMaps HERO 360 Rotorを提供し、誰でも高画質な360度撮影をできるようにもしている。
一般化する360度撮影
従来の360度撮影は、どうやって撮影するかというノウハウ面から始まっていた。
しかし、一発で撮影できるコンシューマー向けカメラからプロ向けのハイエンドカメラが続々と登場しており、撮影自体は問題なくなっている。
今後は、用途に合わせた製品を選ぶだけの問題になっている。
高画質な製品は価格も高いので、エージェントによる撮影が減ることはないだろうが、順次一般化しており、付加価値を提供できなければ生き残りは難しくなりそうだ。
Street View関連サービスはAPIの提供から続々と登場しているので、その中で何を提供していくのかが今後の問題になるだろう。
趣味で撮影するのもよし、それをビジネスに生かすも良し、どちらにしてもストリートビュー関連の知見やノウハウを今のうちに集めておかなければ、この分野はすぐに取り残されていくことになりそうだ。