こんなネットサービスがあれば良いなという妄想をいつもいろいろ考えています。
その中の一つに、ヘッドホンなんかをして移動中に観光スポットなどが見えたら勝手に教えてくれるものが出てくると、出歩きが楽しくなるのではと思ってました。
観光バスのガイドのような感じで、その付近に来ると「左手に見えますのは○○です。○○は…」みたいなことを、勝手に音で案内するようなサービスです。
と思ってたら、エイベックスという普段は自分の守備領域とは特に関係もない音楽関係の会社から、音声AR「SARF」なる謎サービスに関する案内が届きました。
調べてみると、勝手に妄想していた事を何年も前から行っているサービスではありませんか。
ということで、どんなサービスなのか会見に行ってみました。
音声AR「SARF」
このサービスは、2018年から実証実験が始まり、2021年より「SARF」としてサービス開始。既に各種自治体やイベントなどで使われているそうです。
GPSやBluetoothのビーコンを使って、街案内、肝試し、謎解き、イベントなどに活用出来るそうで、単純に位置情報だけではなく、昼間は観光案内、夜は肝試しのように、時間帯にあわせたコンテンツの切替なども出来るサービスだそうです。
主に自治体や企業などがコンテンツ制作者になり、その地域でユーザー向けにそのコンテンツを提供するプラットフォームがSARFになります。
自治体や企業などがコンテンツ提供側になりますが、そのコンテンツ作成や、音声データの作成などは簡単ではないので、企画からコンテンツ制作、運用を一貫提供する新サービスの「SARF+」が2024年10月8日に発表されました。
この仕組みで提供される第一弾がOsaka Metro駅で提供される「LDH LIVE-EXPO 2024」向けの音声コンテンツだそうです。(これ自体は2024年10月11日から27日まで提供されます)
実際にこのサービスを使ってみると、特に何もしていなくても、その地点に入ると自動的に音声が流れてきます。
この何もしていなくてもというのが重要で、街歩きで適当に散歩しているような場合、いったん立ち止まってスマートフォンでその場所を調べるのと、勝手にその場所の案内をしてくれるのでは全く体感が異なります。
ヘッドフォンをしていれば他の人の迷惑になる事もなく、街歩きを楽しむ事に集中でき、さらに関連情報を得られることがよくわかります。
音声AR関連の周辺環境
すでにほとんどの方がスマートフォンを持ち歩き、ヘッドホンなどを使って音楽やPodcast、動画などを移動中に楽しんでいます。
最近では、耳を塞がず、街中の音も聞ける骨伝導ヘッドフォンみたいな物もあり、街歩きなどでヘッドフォンしていても車に気づかないので危ないという事もありません。
いわゆる歩きスマホの場合は、前を見ずに歩くので危険ですが、骨伝導ヘッドフォンなどを使って、音だけを適度な音量で聞いている分には何の問題もありません。
つまり、音声コンテンツに関しては、様々な可能性がある状況で、音声と位置情報を組み合わせたこの「SARF」は今後注目のサービスでしょう。
音声コンテンツの制作環境の変化
このSARFは説明によれば、YouTubeに動画をアップロードするくらいの気軽さで、コンテンツを制作できるようになっているそうですが、YouTubeの動画同様に音だけといってもコンテンツ制作自体はそこまで簡単ではありません。
近年急激に伸びているのがAIですが、関連して音声AIのクオリティも上がっており、一見すると人間かAIかわからないくらいになっています。
このSARFも合成音声には対応しているそうで、文字を入力すれば自動で音声にするようなことも出来るそうです。まずは合成音声でテストして、その後に本格的なBGMやプロの声優などを使った物を制作するような事も出来るでしょう。
音声コンテンツの制作環境の変化
コンテンツ制作はSARF Studioという制作環境で行うそうですが、これ自体は一般に開放されていません。
現時点で契約したコンテンツ制作者に提供されているようですが、2024年夏まで「SARFクリエイティブパートナーズ」が募集され、コンテンツを制作している段階で、その結果から今後の展開を判断していくそうです。
YouTubeのように手軽にコンテンツ制作が出来るとは言え、現時点では個人が勝手に音声ARコンテンツを自由に作れる状態ではないです。
今後どうなるかはわからないので、位置情報と音声を使ったコンテンツのアイデアは練っておくと良さそうです。
音声と位置情報コンテンツ
美術館などに行くと利用出来る音声ガイドや、観光地でのバスガイドのようなサービスを利用すると様々な情報を知れるので便利ですが、これが手元のスマートフォンでいつでもどこでも楽しめるようになると新たなサービス展開が期待されます。しかし、この「SARF」に限らず、問題はどれだけ楽しめるコンテンツが集まるかでしょう。
今のところ、観光目的などでそこそこお金をかけたコンテンツしか提供されませんが、これらが増えていくと別の広がりもあるかも知れません。
このエイベックスのSARF自体の直接の競合になりそうなのがON THE TRIPやソニーのLocatoneです。
ナビタイムジャパンもナビゲーションサービスにこのような機能を組み込んでいるそうで、Googleの位置情報とARの活用もはじまっているようです。
個人的にはこの種のサービスがそれなりに始まっていること自体、何も知りませんでしたが、実は各社が始めていました。このような音声と位置情報を活用したサービスは、複数社がサービス展開することで、競争が生まれよりよい物へと進化していきそうで、今後の展開に注目したいです。
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