A4ファイルサイズ、2.7kgという当時としては驚異的にコンパクトなパソコンである、旧東芝のDynaBook J-3100 SS001が1989年6月26日に発表されました。
この6月26日が日本記念日協会からノートパソコンの日と認定されました。

6月26日はノートパソコンの日
それまでのラップトップと呼ばれていた製品と比べると、圧倒的に軽量でコンパクトなノートパソコンはその後、30年以上の歴史の中で進化を続けています。
従来のクラムシェル型から、ディスプレイとキーボード部分が分離出来るデタッチャブル型、キーボード部分がひっくり返ってディスプレイ部分だけがタブレットとして使える2-in-1型(Dynabookは5-in-1としている)などフォームファクターが多様化しました。
1990年代は2kg以下が持ち運びの基準だったのが、日本では1kg以下が基準になるなど、薄型軽量化が進みましたが、プレミアム製品に限られていました。Netbookという低価格なノートパソコンブームがありましたが、インテルのUltrabookによって、ある程度クオリティの高い薄型軽量製品の低価格が進みました。そして、Googleサービスを中心にシンクライアント的に使える低価格なChromebookなどが登場するなどしました。
現在、ノートパソコンは単純に画面サイズや薄さや重さだけでなく、ユーザーが求める性能や用途に合わせた様々な製品が登場しています。
ハイパフォーマンスなモバイルワークステーション、ゲーミングノートパソコン、クリエイター向けノートパソコンなど様々な用途向けの製品が各社から登場しています。
一方で2026年は数年後に振り返ると、市場動向が大きく変わる年になる可能性もあり、どう変わるのか、日本ブランドはどうなるのか考えます。
2026年現在のノートパソコン
多くのパソコンユーザーが何らかの形でノートパソコンを使っています。
普段はデスクトップパソコンを使っている人も、出張など出先で使う時用のモバイルノートパソコンを使っているのが一般的です。デスクトップ型とノート型の市場シェアでは世界市場では8割、日本市場では9割がノート型パソコンと言われています。
普段持ち歩かない人も、ディスプレイ、本体、キーボードが一体化しているノートパソコンはコンパクトで、何かあったときも簡単に持ち運べる利点などが評価されています。販売数の多くがデスクトップリプレースメントと言われる16インチ程度の画面サイズの製品で、多くの法人ユーザーが一括導入する際に選ばれていますし、個人にも店頭でよく選ばれているのがこのクラスの製品です。
そして、13から14インチ程度のモバイルパソコンは、街でよく見かけるような、持ち歩いて使用することを主な目的として使われています。このクラスの製品は持ち歩き用としても、普段使い用としても、日常は外付けディスプレイに接続して使うような使い方をされることも多いです。
このような、ノートパソコンの一般的な使われ方が、2026年から大きく変わっていく気配があります。
GooglebookとNVIDIAのRTX Sparkを代表とするAI用途という大きな2つの流れがあります。
2026年からの変化その1 Googlebook
Googleは2026年のGoogle I/Oの直前に、Googlebookという新しいノートパソコンについて公表しました。
これはChromebookを将来的に置き換える製品となり、OSはAndroidベースで、Androidで使われているGoogle Playのアプリがネイティブに動作すること、AI機能がOSに組み込まれている事などが特徴となります。
2026年末に対応製品を登場させるとしていますが、当初投入されるのはいわゆるプレミアム製品で、従来の10万円以下で購入出来たChromebookとは異なります。
安くない製品としてはChromebook Plusというコンセプトの製品も一時期投入されましたが、それとは全く異なるコンセプトの新しい製品となります。
Googleが計画しているのは、単純に高性能なChromebookではなく、様々なコンピューティング体験の改革です。その中の一つが各機器間での連携です。
各機器間での連携とは、普段使っているAndroidアプリの内容をシームレスにGooglebookに移行出来るようなことです。
従来、スマートフォンでの操作はスマートフォン、パソコンでの操作はパソコンで完結していました。これを各機器間での操作をシームレスに移動出来るようにするのが今後の目標と予想されます。
例えば、現在の画像編集は、スマートフォンで撮影、スマートフォンのアプリで簡易的に編集。更に編集が必要なら、何らかの形でパソコンへデータの転送、パソコンの編集アプリで開いて加工のような手順で行います。
Googlebook及び対応Android機器を使うと、スマートフォンで撮影、画像編集アプリ内で簡易的に編集、より詳細な編集が必要な場合、パソコンを開くと、そのアプリの編集画面が大画面用のデスクトップUIで表示されそのまま細かな編集が可能。パソコンを閉じてスマートフォンを開けばその編集結果が反映されているので、スマートフォンで送信等の操作の様な形です。
アプリがGooglebook、Android間で共通して動作し、データ転送などの手間も意識的に行う必要が無く、機器間での分断がなくなる世界になる可能性があります。
この各機器での連携はHandoff(ハンドオフ)型機能などと言われ、Googlebookでは仮想化機能を使って、データを転送するのではなく、アプリの状態そのものをAndroid Virtualization Framework(AVF)を使って引き継ぐ機能などが、GooglebookのAluminium OSで搭載されると予想されています。
他にAI関連機能の融合などもありますが、ユーザーとしてはこのような機器間の連携が、アプリの対応含めて、本当にうまく行けばかなり革新的な製品と感じることになるでしょう。
2026年からの変化その2 AIを本格利用する最上位プレミアムAIノートパソコン
2023年頃からのAIパソコンは、NPUの搭載、NPUのTOPS値を競っていました。
その基準となったのがMicrosoftのCopilot+ PCです。
Copilot+ PCが基準とするAIパソコンも一定のことは可能ですが、2026年現在で注目されているAIといえば、AIエージェントです。
この名前は今後固まっていくでしょうが、エージェントAI、エージェンティックAIなど使われる場所などによって呼ばれ方も様々です。ここでは、AIが自律的に様々な事を行うAIのことを表します。
具体的に何かと言えば、最新のパソコンの市場動向を調べるために、これまでのAI利用は例えばチャットボットのAIに「パソコンの過去5年間の売上げを調べて」と言えば、検索などして調べた結果をまとめてくれます。
これ自体便利な、アシスタントとして使えていましたが、AIエージェントはそれ以上のことを行います。市場動向を調べて最終的に何をしたいのか、最終ゴールを伝えるだけで、その手段をすべてAIが自動的に行ってくれるのがAIエージェントです。
ここではAIエージェントに「最新のパソコンの市場動向を調べて」と伝えると、何を調べるのかをプランニングし、リサーチし、最終的にまとめることまでを自動的に行ってくれます。
最終的にまとめることも、社内文書のフォーマットに合わせて例えばWordファイルにする、PowerPointにする、もしくはGoogleドキュメントを使うなども自動的に行ってくれるのが、AIエージェントです。
このAIエージェントをどこで使うかが課題です。すべてクラウド上のAIサービスで行うのか、自分のパソコンで使うかですが、従来型のAIパソコンではAIエージェントが動作しません。単純にAI性能が低いからです。
かといって、クラウド上のAIサービスにすべてのデータをアップロードしてしまうのは危険すぎます。
AIエージェントを動作させるためには、従来より高性能なAIパソコンが必要となっています。
AMDのRyzen AI MAX+ 395、AppleのApple SiliconなどのSoCは、128GBメモリを搭載して、AIエージェントが動かせる最低限の性能を持った製品が多数展開されています。
この市場にNVIDIAもRTX Sparkで2026年末に参入します。現在の多くのAIサービスがNVIDIAのCUDAがベースになっています。そのCUDAが使えるRTX Spark自体がWindowsパソコンなので従来のアプリケーションがそのまま動作します。
つまり、多くのAI関連ソフトをそのまま動かせ、従来の業務をそのまま使えるRTX Spark搭載のパソコンは、AIエージェントを使うのに最適な製品になる可能性があります。
問題はそのコストです。RTX Spark搭載のパソコンはDGX Sparkよりも安くなると言われていますが、DGX Spark搭載のミニパソコンは80万円程度からなので、仮に安くなっても70万円程度からではと推定されます。
この価格が高いか安いかは微妙なところで、例えばGoogleのGoogle AI
Ultra 20xは月額32,000円です。2年で768,000円になります。
クラウド型のAIサービスは日々驚異的な勢いで進化していますが、問題は高額な料金を払っても無制限には使用出来ない点です。
AIが動作するパソコンが手元にあれば、ハードウェアの利用料金は買い切りなので、無制限に使用可能です。
仮に優秀な人間のアシスタントを月給35万円で雇うと考えると、手元にどんな無理難題でも電気とネット環境さえ提供すれば文句も言わずにやってくれる高価な超ハイエンドAIパソコンは高くはありません。
2026年からの変化その3 高品質ながら求めやすいパソコン
Googlebookも、超ハイエンドAIパソコンも高価な製品ですが、低価格な製品の変化もあります。
Appleが先陣を切ったMacBook Neoのような製品です。値上げしたばかりですが、それでも$699、119,800円でそこそこ軽く薄い、質感も高く、使い勝手も悪くないパソコンが手に入るのはかなり魅力的に感じているユーザーが多いです。
誰もがAIエージェントを必要としているわけではなく、クラウドで多少AIが使えればそれで十分と感じています。それをスマートフォンでは、使い勝手に問題があると思うユーザーは、文字を入力しやすいハードウェアキーボード、大画面で使えるノートパソコンを求めています。
そんなユーザーに最適な選択肢としてAppleのMacBook Neoが提供されていますが、これは各社が本格的な競合として対策し始めました。
その先陣を切ったのが、DELLのXPS 13で、MacBook Neoの発売から3ヶ月ほどでタイミング良く対抗製品をリリースしました。通常、ノートパソコンの開発は2年ほどかかります。従来から計画していたものを多少改良するだけで、競合に対抗出来る製品としてリリースされました。
今後各社から似たようなコンセプトの製品が登場するでしょうが、はやくても2026年末、2027年に入ってからになるでしょうが、その頃には、MacBook Neoも一段階強化されているかもしれません。
日本のPCブランドはどうなる
Googlebook、RTX Sparkどちらも、日本のPCブランドから初期段階で発売するリストには入っていません。
Dynabookはノートパソコンの世界を切り開き、NECなどが続きましたが、今回紹介した新しいコンセプトの製品はGoogleやNVIDIAが先導し、それを初期段階で採用するのも世界シェアが高いブランドとなっています。

DynabookはAI PCを推進していくが
Dynabookなど各社は、自社の現在の強みを更に強化しようとし、自社の様々のサービスを展開しようとしていますが、これらの新しい動きへの追従の動きが見えません。
今度どうなっているかは未知数ながら、日本ブランドによる新たな動きを期待したいです。