ITライター上倉賢のAll About

IT系ライターによる日常

完成度を高めたLenovo ThinkPad X1 Fold Gen 1発売へ - 折りたたみPCの進化と将来展望

ThinkPadの折りたたみ製品ThinkPad X1 Fold Gen 1が2023年12月頃より出荷されます。

この製品の発表自体は2022年に行われていましたが、1年近くたってようやく出荷されることになりますが、その間も改良は行われていたそうです。

折りたたみの部分画面ゆがみはほぼ解消

Lenovo ThinkPad X1 Fold Gen 1

2022年当時のプロトタイプの実機も確認しましたが、折りたたみ部分の折りたたみ部分がわかりやすかったと記憶しています。出荷版に限りなく近い実機では、この折りたたみ部分は限り無くわかりにくくなっていました。

よく見ると、折りたたみ部分周辺は完全な真っ平らではないですが、折りたたみ製品で気になる画面のゆがみは限り無く解消されているようです。

色が若干変わって見えるようなこともほぼ無いようです。若干の画面のゆがみはペン入力での違和感は元々ほぼ問題になりませんが、見た目での問題も無いので、大画面ペンタブレットのようにも使えます。

youtu.be

今後の折りたたみPCの問題は値段と・・・

ノートパソコンの代替として折りたたみPCを使う場合、様々な問題が発生します。

プレミアムモバイルPCが1kg以下に対して、この製品は1.26kgとそこそこ重く、これにキーボードなども含めるとまあまあの重量になります。

一方で画面サイズは16インチで、縦も横にも配置できるという利点などもありますが、薄軽のノートパソコンはと言えないです。

また、この製品は開かないと使えませんが、プレミアム製品が片手で画面を開けられるところ、ほぼ両手を使わないと開かないです。(頑張れば出来る)

また、くさび形でもない真四角な形状なので、片手で持つのも結構大変です。

折りたたみPCはこれからどうなる

ThinkPad X1 Fold Gen 1 縦配置

少なくとも、折りたたみ製品は大画面を持ち運べるなどの利点があっても、一般的なプレミアム製品の2倍の50万円を超える価格では、現状のプレミアム製品と同等の販売数は期待できないでしょう。

折りたたみでは無く、画面巻き取り型で画面自体が大きくなる機構なども考えられているようです。

様々なプラットフォームが生まれて、改良され洗練された物が残っていく事になるでしょう。

現状の折りたたみ製品はそんな将来の何かの初期製品でしかないなら、今後の進化が楽しみです。

Google プロダクトエキスパートサミット 2023 ロンドンに参加した

PES 23 LONDON

Googleプロダクトエキスパートプログラム(Google Product Expert Program)略してPE Programに参加していると、年に1度開催されている、サミット(Summit)というイベントがあります。

PEとはProduct Expert(プロダクト・エキスパート)の略です。

2019年までは通常開催で、それからCOVID-19の関係でオンライン開催になりましたが、2022年にハイブリッドで世界3地域に分けて復活開催。2023年は10月にグローバルイベントとしてリアル会場はロンドン、オンラインも併用した「PES 23 LONDON」がハイブリッド開催されました。

ハイブリッド開催というのは、主要なセッションがオンラインで視聴可能で、わざわざ現地に行かなくてもいい、イベント参加要件を満たしていない人でも、オンラインで参加可能な形態でのイベントです。

サミットの最大の楽しみは、参加者同士が交流できる点です。
プログラムの参加者同士はもちろん、普段は滅多に合わないGoogler(Google社員)などとも直接交流出来る点だと個人的には思っています。

2022年は地域イベントとして、APAC圏は東京での開催が予定されていましたが、もろもろの関係で場所がシンガポールに移動しました。その時の模様はこのブログで書いています。

Google PE Summit 2022 – 本番イベント編 | Masaru Kamikura Blog

特に2023年は久しぶりのグローバルイベントとして、ロンドンで開催されたため、地域イベントの時のAPAC、及び日本とは違う地域の方との交流が可能な点が見逃せません。

イベントでは何が行われる

パーティー

イベント自体はIT関連のよくある内容で、全体の講演、個別の講演等があり、昼や夜の食事、パーティーなども開催されます。

今回はイベント日程は2日間ありました。イベント前日のパーティーくらいから、イベント後の朝食くらいまでが実質公式のイベント日程となって2.5日くらいが拘束されます。

しかし、イベント前日到着の場合は、地球の裏側から来る人の配慮等から、前々日到着も可能で、今回の宿泊は最大4泊になりました。近場のヨーロッパ圏などからの場合は前日着が標準で3泊になります。

イベント前日は、ロンドンバス観光ツアー(バスでロンドン中心地を渋滞込み2時間くらいかけて回るもの)も希望者向けに実施されました。パーティー含めて、現地で楽しめる時間もある程度は配慮されている形です。

講演内容は非公開が原則で詳細は書けませんが、GoogleYouTubeのサービスや新しい取り組みを説明するGoogleウォッチャーには知ってる事も多いけど、深くはよく知らない物から、個別プロダクトの将来計画、各機能の詳細説明、新機能のベータテストに関する事、担当者とのディスカッション中心の物まで様々です。もちろんライブQ&A付きです。

参加者は600人以上いたような感じで、各プロダクト毎に行われますが、個別セッションは合計100くらいはあったようです。セッションの雰囲気は一般的なIT系カンファレンスと同じ感じでしょうか。

日本人には気になる言語ですが、基本は英語です。一部に通訳付きのセッションがある様な形です。英語が出来ない方は通訳付きのセッションを優先するか、翻訳がなくても英語セッションでの自分の希望プロダクトのセッションを優先するかを選べます。(少なくとも聞いてなんとなくわからないと実質話になりません)

Google UKオフィス内のお茶スペースで御用達のClipper tea

イベントの費用

イベントの費用はすべてGoogleが提供します。

出発から帰国の航空券、ホテル宿泊費用、現地移動費用、現地食事費用が提供されます。

参加者は空港まで自力で行けて、パスポートを取得でき、パスポートさえ持って行き、財布も持たずに参加出来ます。(ただし、ホテルチェックイン時にクレジットカードの提示が必要になる)

今回はイギリスで開催されましたが、国によってはビザの審査が必要で、審査が通らない国の人の情報も得られます。そんなことも含めて世界は広いことがよくわかります。

余裕のある方は、現地滞在を増やせます。到着、出発日はGoogle指定の旅行代理店が設定した航空券の予算の範囲内で、フレキシブルに変更出来ます。到着を前にしたり、帰国をあとにしたり。ただしその場合の宿泊費、食費等は自腹になります。

この費用負担をうらやましく思う人もいるようですが、普段のPEとしての活動時間を考えると、この程度では日本や欧米の物価では完全に赤字です。普通にそんなことをせずに普通に働いた方が儲かります。

宿泊ホテル

個人的プロジェクト

セッションなどで知見を増やすのがイベントの本来の目的です。それは当然として、パーティーで楽しむなども含めた上で、他に何か出来る事を探しています。

今回は2018年以来のグローバルイベントという事で、出来ることを考えていたところ、リアルタイム翻訳がかなり使いやすくなっていることがわかりました。

英語でのコミュニケーションは簡単にでき、毎回いろいろな国・地域の方と英語でのコミュニケーションはしていますが、世界中の方と第一言語同士でコミュニケーションするというプロジェクトをやってみました。

その一部がわかるのがこの動画です。

youtu.be

この動画では、とりあえず複数言語でコミュニケーション出来たことを簡単にまとめた物で、一部抜けている言語がありました。(別のビデオで撮影できた国と言語をまとめたいです)

最終的には30地域くらいの方とコミュニケーションできました。撮影していない分含めると総計では100名を優に超えています。いつも、ここまでいろいろな人と直接コミュニケーションしている人は他にいないはずです。

そのため、いろいろな国の人達と顔見知りになっていますが、ここだけの話、誰が何という名前だったかは覚えてませんが、顔だけは覚えていたりします。

このように積極的に他の人に話しかけるような取り組みを毎回しています。

これで面白いのが、自分が一生行かないような国・地域の人と直接知り合えるという点です。何度も繰り返していると好みなどもわかってくるので、安い物ならお土産として持っていくようになったりします。実際にペルーの人からお土産をもらったり、韓国の人の好きそうな物を持ってたりなどしました。

イベント関連情報

Googleのロンドンオフィスはいくつかありますが、St Pancrasの横にあるのがメインの所らしく、イベントではここでも個別セッションが行われました。下の画像のLinuxが見えるビルです。

Google 6PS

そのすぐ近くに更に巨大な新しいオフィスを5年以上前から建設中で、ようやく形が見えてきました。下の画像は北側から見た、まだ外装が出来ていない風景です。

Google KXG1

ロンドンでは古い2階建てバスが観光用に使われています。前述した今回のイベント用に、この古いバスでしない観光が行われました。このバスは最近ロンドンで導入された、車の排気ガス規制、ULEZという規制には非対応だそうです。

エンジンなども古いままだそうで、毎日罰金払って走らせているようです。

そもそもなぜ観光にこの古いバスが使われているのかよくわからないです。新しい方が乗り心地がよいような。

ULEZ非対応バス

#PESummit2023

Qualcomm Snapdragon X Eliteは2024年のPCはどうなる

Qualcommが2023年10月24日、同社が開催するカンファレンス「Snapdragon Summit 2023」においてSnapdragon X Eilteを発表しました。主にノートパソコンに搭載されるSoC(CPUなどのこと)です。
これはCPUに新開発のQualcomm Oryon CPUを採用して、発表現在で現行世代の他社製品の性能が倍になるなど、圧倒的な性能を持つSoCだとしています。

これを搭載したノートパソコンなどは2024年にリリースされるとしています。

Snapdragon X Eliteとは

これまでQualcommのPC向けSnapdragonはArmのCortexを使用しており、PC向けとしてのパフォーマンスは他社製品より大幅に劣っていました。

そこで2021年にQualcommはNuviaという半導体開発企業を買収し、2022年に独自コアのQualcomm Oryon CPUの開発を発表。そして、2023年10月に性能含めた詳細を公表しました。

Apple Siliconに匹敵するARM系SoCはいつ出る | NotebookPC.jp
Qualcomm Unleashes Snapdragon X Elite: The AI Super-Charged Platform to Revolutionize the PC | Qualcomm

Snapdragon X Eliteは今まで圧倒的に劣っていたCPU性能が、Apple M2やIntelの第13代世代Coreに比べても圧倒、GPUやNPUの性能もかなり高いとして公表しています。

搭載製品が2024年にならないと出てこず、AppleIntelもその頃には高性能な製品をリリースしているので、2023年10月の比較とは状況が変わりますが、2024年の製品はARM系Windowsもようやく比較できるレベルまで向上しそうです。

Snapdragon X Elite

ARM系製品の問題は

一番の問題はx86が圧倒しているWindowsでのソフトウェアの互換性です。

ARMのWindows 64bit版はソフトウェアエミュレーション出来るようになっており、主要なソフトは動作します。しかし、ネイティブ対応していないソフトも多く、日本語環境ならATOK for Windowsが動作保証外、Adobe Creative Cloudもほとんどのソフトが未対応の状態です。

AppleIntelからApple Silicon移行後、すぐにほとんどのソフトがネイティブ対応できる状態になったのに比較すると、かなり対応が遅い状態です。

Snapdragon X Eliteで状況は変わるか

Snapdragon Summit 2023で賛同コメントを出しているのが、MicrosoftLenovo、HPです。おそらくこれ以外にも何社かから採用製品がいくつか出てくるでしょうが、ARM系Windowsのシェアが増えれば、ネイティブ対応が増えるなど、ソフトウェアの対応もすすむかも知れません。

実際に状況が変わるのは、発売からしばらくしてからになるでしょうから、本当に状況が変わるのは2025年以降になるかも知れません。

2024年時点では、ソフトウェアの互換性が気になる場合は、従来のARM系Windows同様に、Snapdrago X Elite搭載モデルを無理して買うこともない状態は続くかも知れません。

notebookpc.jp

F1シミュレーターがなかなかすごかった Lenovo All Players Challenge

MIYAVIさん、長屋宏和も参加したオープン前日イベント

レノボが2022年からF1のオフィシャルテクノロジーパートナーになった事もあり、F1日本グランプリ関連のイベント「Lenovo All Players Challenge」を行っています。

東京の渋谷で2023年9月15日から18日まで行われる、F1シミュレーターによる鈴鹿サーキットタイムアタック大会です。事前予約制で行われますが、開催前日の発表イベントで先行して実際に体験してみました。

Lenovo All Players Challenge

このイベントは、一定のレギュレーションの中で、制限時間内のベストタイムを4日間かけて争うeSportsで、タイム上位にはF1のパドッククラブへの招待などもあります。

オートマ限定などの決められた設定の中で15分間走れます。うまい人なら8周くらいはできるので、その中のベストタイムを争います。

かなり本格的な設定でチャレンジ出来る

使用するシートやハンドル、ブレーキの堅さ等も統一されており、全員が同一条件で出来ますが、初めてこのゲームをやるとか、コースを覚えてないような方はまず良いタイムを出せません。コースアウトしてもタイムとして認められない、その場合も自力でコースに戻る必要があるなど、本物っぽいゲームで、視線も本物と同じでかなり低く、なによりも前がよく見えません。
この手の本格的シミュレーター初体験の筆者が試したところ、安全運転でコースアウトせずに何とか記録を残せたという感じでした。記録は2分37秒で、1回スピンして立て直すのに時間がかかりましたが、スピンしなくても2分切るのはかなり難しそうでした。慣れている人なら初めてでも1分40秒を切れるようですが、実際のコースレコード1分27.064秒(2019年セバスチャン・ベッテル)がいかにすごいかがよくわかります。

ほぼ本物設定のF1シミュレーター

このイベントで使われるシートはチューニングカー仕様の設定です。会場内には本物のF1と同等のシミュレーターも用意されており、ほぼ仰向けの状態になっている事もわかります。

イベントでは34インチのウルトラワイドモニターを使いますが、これでもかなりの臨場感があります。慣れていない筆者は前を見るのが精一杯で、端に表示される地図を見る余裕もありませんでしたが、これを3画面にして横で流れる風景もわかると、さらに臨場感が増すそうです。

使われているのはLenovoのLegionノートパソコン

今回のイベントではLenovoのLegionノートパソコンが使われており、レースゲームは比較的負荷は低い物の、ゲーミングノートパソコンでも十分遊べることもわかります。

よりリアルを追求した本物の面白さ、eSportsの面白さ、PCゲームやハードウェアの進化が体感できるイベントです。

残念ながら予約枠はすべて埋まっており、当日枠で参加するしかありませんが、参加出来なくてもシミュレーターは見学できるので、F1ファン、レースゲームファンにおすすめのイベントです。

youtu.be

lenovo-allplay2023.jp