ITライター上倉賢のAll About

IT系ライターによる日常

警察庁の資料から見る電子マネー型特殊詐欺の動向

パソコンのサポートだ何だの名目でコンビニ等で電子マネーを買わして、その番号を送信させる詐欺が日々発生しています。

その割に警察や関係機関の対策がほとんどされていない、コンビニに警告のポップがある程度のような感じがあります。

どの程度の電子マネー型特殊詐欺があるのかを警察庁の資料から確認します。

電子マネー型特殊詐欺の例

www.youtube.com

例えば

この動画のようにパソコンの画面にマルウェアに感染したかのようなエラー画面を出して、偽のマイクロソフトのテクニカルサポートに連絡させ、そこでGoogle Playギフトカードなどを購入させ番号を送信させる。

というのがよくある詐欺の一例です。

この例を見ればわかるようになんでマイクロソフトのサポートにGoogle Playのギフトカードで払うんだよとか、普通のスキルがある方にはツッコミどころ多過ぎな詐欺ですが、この程度でダマされる人は多数います。

その金額も数万円から数百万円までという状況です。もちろん一回の詐欺でです。

この手の詐欺は、話者が多い英語、詐欺の実行犯が多いインドなどの組み合わせの方が被害が大きく、例えばBBCは次のように報道しています。

www.bbc.com

実際にこのような詐欺のに引っかかる人はどのくらいいるのか

警察庁は、犯罪をいくつかに分類しており、詐欺などは、知能犯に該当します。ギフトカードを使った詐欺は、知能犯の中の詐欺、その中の特殊詐欺、その中の電子マネー型に分類されます。

電子マネー型特殊詐欺の認知件数は2020年に1,133件、被害額は9.9億円です。オレオレ詐欺など含めた特殊詐欺全体は13,550件、被害金額は285億円なので、電子マネー型の被害金額の割合は、特殊詐欺のなかでは3.5%程度です。

電子マネー型含めた特殊詐欺は、年々減少傾向にあります。電子マネー型は2018年に2,888件だったので、その頃と比べると半減していますが、警察庁電子マネー型詐欺の統計を始めた2015年の132件から比較すると、まだまだ10倍ほどと予断を許さない状況です。

www.npa.go.jp

法的な対策、事業者側の対策

例えばマイクロソフトはインドの警察と連携して偽コールセンターを摘発しているし、

www.bbc.com

GoogleGoogle Playのギフトカードを他の国では登録できないようにする対策を強化(2021年10月に日本のギフトカードで行われた模様)、Amazonは詐欺などで使われたギフトカードを使用したアカウントを停止するなどしています。

この詐欺は、より巧妙になるのか、他の手法に移動するのかは業者側などの対策、詐欺師の知恵のどちらが勝つかという状況でしょうか。

 

 

Adobe MAX 2021の基調講演で公開された新機能

Adobeの最新情報などが発表され、画像編集、動画作成等の関連セッションが多数開催されるAdobe MAXが2020年に引き続き、2021年もオンラインで日本時間の2021年10月27日から開催されます。

各セッションでは詳細が説明されるが、基調講演では各セッションで説明される新機能等が簡単に紹介されるので、Adobeがどのような方向に向かっているか、今年の製品アップデートがわかりやすいです。

Cloud関連機能の強化

流れとして進んでいるのはCreative Cloudを活用した、共同編集機能の強化でしょう。

データをオンラインにおいて、共同編集しているチームが物理的にどこにいても、コメントを残したり、画像などにマークを書いて修正指示をしたりするようなことが簡単にできるようになっています。

今回は、PhotoshopIllustratorWebブラウザで使えるようにもなり、デスクトップアプリのインストールすら不要になりそうになっています。

Adobe Senseiの活用

AI機能のAdobe Senseiを使った新機能も増えていますが、画像内の物を消すくらいは普通になっていて、ちょっとしたものでは驚きはないですが、確実に編集作業が楽になる動きになっています。

AI機能を使うので、デバイスのAI関連機能は必須。利用するデバイスでのCPUやGPUでのAI関連機能がどの程度強化されているかは今後の利用製品選びでは重要です。

基調講演まとめ

基調講演で解説された主な新機能に関する内容は次のような物になります。USでの基調講演の内容で、日本版とは若干異なります。

一部理解が間違っている物もあるかも知れないので、正しい内容は基調講演を実際に確認してください。

Photoshop on the web

Photoshopの主要機能をWebブラウザで実行できるようになる機能。

Creative Cloud上に保存した画像にコメントを入れたりする共同作業をして、そのままWebブラウザ、デスクトップアプリなどでシームレスに画像の編集が出来る。

Creative Cloud Canvas

プロジェクトで使用している画像素材等をそのまま並べて共同編集者等と共有出来るキャンバスを設定出来る機能。

Adobe Stock

Stock & Marketplace

Find Similar Audio
似たような画像、音楽を簡単に探せる機能。

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Photoshopの新機能

Object Selection Tool
Photoshopが自動的に画像内の個別のオブジェクトを選択、マスクの作成を自動化出来る機能。

IllustratorベクターPhotoshopで直接編集できる機能。

風景の季節を変更できる機能。白黒画像に自動的に色を付ける機能。その色を調整できる機能。

Camera Raw File Support

Smart Objects

Fresco

Adjustment Layers
レイヤーの調整

Perspective Grids
パースのグリッド機能

Motion
アニメーションに対応

Xd

アニメーション、ビデオの再生

Illustrator

手書きをスムーズなベクターにする

Vectorize
イラスト画像のベクター

Art and Calligraphoic Brushes
新しいブラシ機能

Improved 3D Effects
3D化

Webブラウザでの編集

Share for Commenting

Lightroom

スマートフォンでの変更、デスクトップでの編集、共同作業。

Select Subject, Masking, Recommended Presets
空の変更、空を自動でマスクするなどして調整する機能。マスクが抜けていても手動で簡単にマスクを追加できる機能。

Premiere Pro

Simplify Seqauence

簡単に素材を選択

Speech to Text Improvements
キャプション機能の強化

Colorized Vectorscope

After Effects

Composition Profiler

Multi Frame Rendering
マルチフレームレンダリング

Reimagined Render Queue

Remote Notifications
レンダリングの終了をスマートフォンで通知

共同編集機能

Flame IOでの共同編集について

Character Animator

Body Tracker

Acrobat

紙の書類を撮影してスマートフォンでサインする機能

共同編集する機能

PDFファイルの文字をスマートフォンで大きく拡大できる機能、リキッドモード

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Substance 3D

オブジェクトを選んで、形状や素材、色を簡単に変更、バーチャル撮影、Photoshopに持って行き色を変更

3Dオブジェクトにブラシやスタンプなどを使って色を塗る機能、スマートオブジェクト機能

Contents Credentials

コンテンツの編集、権利情報に関する機能

www.adobe.com

 

Pixel 3のバッテリー交換で一番大変なのは裏蓋外し

GoogleスマートフォンPixel 3のアップデートは2021年10月で終わります。2018年11月に発売したので、3年でサポートが終了というのは、2015年に発売したiPhone 6sも2021年のiOSメジャーアップデートをするAppleと比べるとかなり短いです。
(他のモデルをみると実際にはそれから数ヶ月のセキュリティアップデートはあるようです)

support.google.com

それはともかく、スマートフォンのバッテリーは3年程度使えばかなり劣化します。私が使っていたPixel 3も2021年夏頃には極端に駆動時間が短くなりました。

サポートが終わると毎月のアップデートも無くなるので、メイン端末としての使用は危険ですが、予備や検証用としては当分使えるでしょう。そのためにはバッテリーの交換が必要です。

Pixelの正規修理店のiCrackedでのPixel 3の修理は120分、11,880円。

サポートが終わったスマートフォンの修理が1万円というのは、3万円程度で低価格な新品のスマートフォンが買える事を考えると微妙。

Amazonで調べると3500円くらいで自分で交換するキットが販売されています。Aliexpressの場合は1500円くらい。

今回はいつ届くかわからないAliexpressは避けて、高い方のAmazonで買うことにします。

すぐに届いたAmazonの交換キットの中身は、バッテリーと交換に使う基本的な工具が入っています。

これだけだと交換手順が全く不明なので、調べると

www.ifixit.com

が一番わかりやすいです。

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Pixel 3を分解したところ

この手順で交換しますが、まず初めの裏蓋の取り外しが最も難易度が高い部分でした。

交換しようとする方はキットなどの購入前にまずここをやろうとしてみてください。

少しでも隙間が空くなら大丈夫ですが、おそらく空かないでしょう。どうしても空かないようなら無理に自分で交換するのはおすすめしません。

私の場合はどうやっても隙間が空かないので、カッターナイフを無理矢理入れてそこから剥がすという作業を行いました。裏蓋は周囲を両面テープで取り付けられているので、全面のテープを剥がしながら行いますが、裏蓋には指紋センサーもあるので下手に剥がそうとすると、このセンサーのケーブルを壊します。

なんとか裏蓋さえ剥がせば、あとは基本的に細かい作業をするだけですが、もう一つ大変な作業があります。

それがバッテリーの取り外しです。バッテリーも両面テープでついており、私の端末ではこれを剥がすのも大変でした。なぜこんなに頑丈なんだと言うくらい丈夫についていて、バッテリをおるんじゃないかくらいの力を入れないと剥がれず、少し剥がしたら細い棒を入れて両面テープを剥がしながら外すという作業を行いました。

このあたりが終われば、あとは分解の逆の作業をするだけです。

バッテリーさえ取り付ければ、本体は動作するので、この時点で問題なく取り付けられているかを確認するのも良いかもしれません。

裏蓋の取り付けは両面テープの貼り直しが必要と思いますが、どうせ予備や検証用で、ケースに入れて使うので、ちょっとくらいおかしくても良いことにします。

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Pixel 3の分解で一番役に立った道具

Pixel 3のバッテリー交換する際に用意しておいた方が良い物

裏蓋を剥がすための道具
カッターナイフ、片刃のカミソリ等の薄いナイフ

蓋を取り付けるための新しい両面テープ

 

M1 Pro, Max搭載のMacBook Proはここがスゴイ

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AppleがCPUをインテルから自社開発のApple Siliconへ移行中ですが、2020年のエントリー、メインストリーム向け製品のMacBook Air、下位モデルのMacBook Proなどから始まり、待望の上位モデルがリリースされました。

2021年10月18日にリリースされたのがMacBook Proの上位モデルです。
下位モデルのMacBook Proは従来のインテルCPU採用筐体の中身をApple SiliconのM1搭載にした物でした。CPUのパフォーマンスはインテルの同時期の製品と並ぶもしくはそれ以上のパフォーマンスでしたが、外部ディスプレイへの出力が1つだけに限られるなど、見劣りする部分もありました。

今回のMacBook Proの上位モデルはそのようなガッカリ部分はなく、ほとんど全てのWindows版ゲーミングノートPC、モバイルワークステーションと対抗できる、もしくはそれ以上のパフォーマンスを持っているようです。

M1 Pro、M1 MaxのCPUコアのワット当たりパフォーマンスがスゴイ

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低めな倍率でも従来モデル比で2倍近いCPUパフォーマンス

M1シリーズのCPUコアは一般的なArmコアと同様に高性能コアと高効率コアを搭載しています。M1の場合は8コアで高性能コア4、高効率コア4という組み合わせでした。
M1 Pro、M1 Maxは10コアで、高性能コア8、高効率コア2という組み合わせになります。

高性能のコア数を増やし、高効率コアを減らすという方向です。よりパフォーマンスを重視した構成ですが、それでも8コアの16スレッドのインテルの第11世代Core-11800H搭載製品よりも、1.7倍のパフォーマンス、70%少ない消費電力だとしています。

つまり、より少ない消費電力で高い性能を発揮できるということです。

インテルが2021年後半に提供開始する予定の第12世代CoreのAlder Lakeも、同じような高性能と高効率のコアの組み合わせになるため、パフォーマンスの差が気になるところです。

なおM1 Proの下位モデルは8コアです。

M1 Pro、M1 MaxのGPUパフォーマンスがスゴイ

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従来モデルのRadeonより2倍以上のGPU性能

M1 ProはGPUコアがM1の8コアから倍増し16コア、M1 Maxはさらに倍の32コアになっています。(下位モデルはそれぞれ14コア、24コア)

機械学習に使うNueral Enginは16コアで変わりませんが、近年のアプリケーションは、CPUだけでなく、GPU機械学習の機能などを活用しています。これらの性能が高くなれば、コンピュータを使った各種処理の大幅向上につながります。

Adobeは2021年7月に、M1に最適化されたAdobe Senseiを使った処理でApple M1の方がインテルのシステムよりも高速なことを公表しています。

GPUコアが2倍、4倍になり、メモリ量が増え、最大400GB/sのメモリ帯域幅ということもあり、無印M1以上の各種アプリケーションでのさらなる高速化が期待されます。

ディスプレイが綺麗

近年のノートパソコンは有機ELの採用など、発色等を向上させる流れがありますが、MacBook Proも高品質なディスプレイを従来から採用していました。

今回のモデルではmini LEDを採用したLiquid Retina XDRで高いコントラスト比など、色の再現性に厳しい用途にも耐えるディスプレイを搭載しています。

さらに、狭額縁化を進めていますが、高画質化したフロントカメラはスマートフォンのようなノッチ部分にあり、画面上部の黒枠がかなり狭くなっています。

外部ディスプレイは最大4台

M1 Macの場合は外部ディスプレイに最大4台、M1 Proは最大2台の外部ディスプレイに対応します。2台に出力できればほとんどの場合は十分でしょうが、4台もつなげられたら相当なマルチ画面好きにも満足でしょう。

なぜかHDMI端子を搭載したので、一般的なHDMIケーブルを使ってディスプレイ出力も可能になりました。

ACアダプタの容量が少ない

16インチモデルは140WのACアダプタ、14インチモデルは97WのACアダプタが付属します。

一般的にGPU性能が高いゲーミングノートPC、モバイルワークステーションのACアダプタは200W以上の大容量で大型のACアダプタが採用されることが多いです。

16インチモデルでも140W、14インチモデルなら96Wで比較的小型軽量のため、持ち運びでも問題になる事は無いでしょう。

65W程度のUSB PD対応ACアダプタに接続したときに、どのくらいのパフォーマンスになるのかが気になるところです。

それぞれUSB PDに対応しているようですが、140Wが2021年夏にリリースされた240Wまで対応するUSB PDの最新規格に対応した物なのかは現時点で不明です。

バッテリー駆動時間が長い

日本のJEITA測定方法の場合、表示時間の半分程度になりますが、Appleは実利用に近いバッテリー駆動時間を公表しており14インチは17時間、16インチは21時間。
これはビデオ再生時で、ワイヤレスネットサーフィンの時は14インチは11時間、16インチは14時間になるそうです。

使用用途にもよりますが、バリバリに高パフォーマンスな処理をし続けるのでなければ丸1日の外出では問題にならなそうです。

多分静か

ワット当たりパフォーマンスが高く、ACアダプタの容量も少ないので、一般的なハイエンドGPU搭載モデルより低消費電力で動作します。

ということは、ゲーミングノートパソコンで悩みどころの騒音はかなり低くなりそうです。

ゲームを遊んでいるときのファンノイズはかなり耳障りなこともあり、高パフォーマンスでも低消費電力で動作すれば相対的にファンノイズは低くなることが予想されます。

本当に静かなら良いですね。(まだ検証してないので不明)

ストレージ容量は8TBまで対応

ストレージ容量は8TBまでカスタマイズで対応します。
512GBから8TBへの変更で税込264,000円ですが、例えばD社のPで4TBにする追加コストは246,840円、L社のTで2TBにするコストは167,200円。
ハイエンドのSSDでこの価格なら問題ないレベルでしょう。一般的には1TB(22,000円)や2TB(66,000円)にすると思います。

意外に安い

16インチモデルで64GBメモリ、8TB SSDにした最大構成時に税込で705,800円です。

前述のD社Pで似たような構成にすると150万円程度、L社Tでストレージは2TBで我慢して90万円程度です。

例えばCUDAをどうしても使いたいとかでなければ、モバイルワークステーションの選択肢として意外にお買い得な場合もあります。

とはいえ、14インチでM1 Pro、32GBメモリ、1TB SSDで税込343,800円は結構な良い値段ですね。

注意したい点

軽くない
パフォーマンスの高い製品なので、軽量な製品と比べるとかなり差がありますが、従来モデルよりも100g程度増えている点に注意しましょう。
従来の13インチモデルが1.4kgでしたが、今回の14インチモデルは1.6kgになっています。16インチモデルは最大2.2kgです。

AppleCare+はそこそこ高い
モバイルパソコンで怖いのは何かあったときの故障です。
液晶が壊れた、内部がなぜか壊れたなどで修理が必要になった場合、超高額な修理費になる事を押さえるための各社の有料サービスは要検討です。
16インチモデルのMacBook ProAppleCare+は税込42,800円です。14インチは税込30,800円。

www.apple.com