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Copilot+ PC ASUS Vivobook S 15 5507QA のPCとしての出来をみる

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QualcommのSnapdragon X Elite搭載のCopilot+ PCが発売になりました。

各社から搭載製品が発売されていますが、その中で15.6インチディスプレイを搭載する売れ筋の、ASUS Vivobook S 15 S5507QAを実際にしばらく利用してみました。
結論から言えば、Snapdragonの互換性問題を気にしなければ、バッテリー駆動時間が非常に長い利便性の高い、大画面ながら薄く軽く、コストパフォーマンスも良いノートパソコンです。

ウエブブラウズ、文章作成中心の用途なら、1時間に消費するバッテリ容量は10%以下程度なので、確実に10時間程度は利用可能です。
その上、このような状態での使用時では冷却ファンが回った形跡が全くなく、本体自体もほぼ熱を感じないくらいなので、高性能なノートパソコンでありがちな、ファンの音がうるさいとか、本体が熱くて不快に感じるようなことがありません。

この時に使用するウエブブラウザ、ワープロソフト等がもたつくようなこともなく、基本的に快適に利用出来ます。基本的にというのは、一部ソフトで謎のバグがありそうなことくらいで、それもすぐに改善するような物なので。

10キー付きのキーボードは好みが分かれますが、ストロークなどに問題ありませんが、キー自体の配置は好みで大きく分かれるでしょう。しばらく使っていれば慣れる部分ではあります。

ASUS Vivobook S 15 S5507QA

Copilot+ PCやSnapdragonはどうなのか

気になるのはCopilot+ PCとしての機能と、Snapdragonの互換性問題です。

Copilot+ PCは、この製品の場合はSnapdragon内のNPUを使ってAI機能を活用出来る、ハイエンドなAI対応PCのような事です。

Copilot+ PCでしか利用出来ない機能は、

  • ライブキャプション PC内などの音声を自動的に設定した言語に自動翻訳する機能
  • イメージクリエイター 画像を生成する機能
  • スタジオエフェクト カメラ画像の加工をする機能
  • コクリエイター 適当な下書きとプロンプトから画像を生成する機能
  • リコール PC操作の記録を取って自分で何の操作をしたか確認できる機能 リリース前の名称は回顧機能

になります。

このなかで、リリース時に日本語圏向けに利用出来る機能は、イメージクリエイター、スタジオエフェクト、コクリエイター機能のみです。

リコール機能はWindows Insider Previewで利用可能ですが、リリース直前のアップデートでなぜか動作しなくなる不具合が発生。
ライブキャプションは、英語や一部言語では、主要な言語の入力をすべて自動判別して、英語などに自動翻訳する機能が利用出来ますが、日本語の翻訳機能はまだ使えません。

真っ先に使いたいのがこれらの機能だと思いますが、まだ一部機能に限られているのが残念なところです。

今後、AMDIntelのプロセッサ搭載機でも対応製品が出てくるようですが、その第一弾となるのが、今回発表された製品です。

Copilot関係で現在使える機能については別途記事にしたいと思います。

SnapdragonはArm系のプロセッサで、x86のソフトがそのままでは動きません。Arm用にネイティブ対応していない場合はエミュレータ機能でソフトの動画も出来ますが、周辺機器や一部ソフトはエミュレータ機能では対応できないため、動作しないソフトも多数あります。

このあたりの検証には時間がかかるので、別途記事にしたいと思います。

ASUS Vivobook S 15 S5507QA自体の完成度

それらは別にして、PCとして見た場合、この製品は15.6インチのディスプレイを搭載した一般手にも最も売れるジャンルの、普通に使える普通のPCです。
メモリは32GBで1TBのストレージを搭載していて、機能上の不足はありません。価格は249,800円で、メモリ16GBモデルもありますが、その場合は229,900円となっています。通常16GBあれば足りますが、一般的な文書作成用途でもメモリを10から12GB程度は利用するので、更に様々なソフトも利用したい場合には16GBではメモリの余裕はありません。今後AIの関連ソフトがどうなるかはわかりませんが、メモリ自体に余裕がある32GBモデルを選んでおいた方が無難でしょう。

ディスプレイは有機ELで、HDR対応の16:10のアスペクト比なので、一般的な動画コンテンツを再生した場合の発色や画面自体の大きさでの迫力があります。音質は映像コンテンツなどの仕様では十分なレベルとなっており、普段のエンターテインメント用途では不足はありません。

周辺機器等の接続では、Type-C形状のUSB4、Type-A形状のUSB 3.2がそれぞれ2端子あり、HDMImicroSD、オーディオ端子もあり、初期段階で発売されるCopilot+ PCで最も充実しているかも知れません。端子が充実しているので、Armプロセッサでの周辺機器の検証用途としても活躍するかも知れません。

ウエブカメラはWindows Hello対応のIRカメラです。顔認証が使えるので、生体認証機能が利用可能です。

長いバッテリー駆動時間と柔軟な充電

バッテリー駆動時間は仕様上は、動画視聴で18時間となっているようですが、ウエブ閲覧、各種文書作成のような用途の場合はこれよりも減ります。1時間で6から8%弱程度は消費するようなので、文書作成用途と言っても様々ですが、実使用時間は10時間程度が目安になりそうです。

電源は90WタイプのACアダプタが搭載されています。Type-C端子での給電になるので、それより低い物での充電自体は出来ますが、90Wの対応ACアダプタを使わないと給電自体は足りません。
充電自体はそれより低い電力でも可能なので、かならずこの90WタイプのACアダプタが必要になるわけではありません。移動の度に専用のACアダプタを持ち運ぶ事は不要です。
具体的にどこまで対応できるかは詳細な検証が必要ですが、低い方では9V 2.22Aの20WタイプのUSB PD充電器での充電は問題ないようです。

例えば、自宅で普段はACアダプタに接続した机の上に置いて使っているが、ソファで使ったり、別の部屋での仕様でもかなり長時間使用出来ます。それらの場所で、充電容量が心細くなったら、その場所にあるスマートフォンなどの充電に使っているU0SB PD対応ACアダプタで充電しておくような使い方でも問題ありません。

パソコンはなんだかんだ言っても、10時間程度実際にバッテリー仕様させるのは厳しかったですが、この有機ELディスプレイを搭載する大型モデルでも必要十分なバッテリー駆動時間があるのは非常に魅力的です。

充電容量を細かに制御したい場合は、各社が用意しているバッテリーマネージメントツールが必要ですが、細かな設定は出来ない物の、バランスモードなどの設定には対応しています。

キーボードやタッチパッドの使い勝手

Vivobook S15 5507QAのキーボード

キーボードは10キー付きなので、好みが分かれますが、一般的な日本語キーボードに慣れている方なら、配列自体には問題ないでしょう。

ストロークなども一般的な薄型ノートパソコンとしては、十分な量なので問題ありません。

タッチパッドは大型の物が採用されており、ジェスチャー操作での仕様も快適に利用出来ます。ASUS独自のスマートジェスチャー機能がカスタマイズ出来ない点が残念です。

普通に使う普通のパソコンとしてはどうなのか

Copilot+ PCやSnapdragonである事を考えずに純粋なPC機能だけをみると、バッテリー駆動時間が長いため、一般的な用途で電源接続なしに、大きな画面のパソコンを普通に長時間使えるという当たり前の機能が普通に使え、有機ELによる高画質ディスプレイ、顔認証の生体認証が利用可能な、普通ながらワンランク上の製品となっています。

価格はストレージが1TBで、メモリ32GBモデルが約25万円、16GBモデルが約23万円となっています。マイクロソフトが規定しているCopilot+ PCの仕様では、ストレージ256GB、メモリ16GBが、最低スペックとなっていて、それよりも若干上で、今後のAI機能を見据えたある程度余裕がある仕様になっています。
単純なWindows 11搭載製品とのスペック比較ではもっと低価格な製品もあるため、安いとは言えませんが、長時間駆動可能なプレミアム感がある製品なので、高いわけではありません。

さらに、別の記事で解説しますが、AI関連の機能をほぼインターネットを使わずに使用出来るため、そのあたりのプレミアム機能も負荷され、さらに今後が期待されるこれらの機能にもある程度余裕を持って対応できることを踏まえ、それが出来ない機種との価格を比較するといいでしょう。

一方で、Armプロセッサでの互換性問題があり、使用したいソフト、周辺機器が使えない場合もあり得ます。
こちらも別記事になりますが、そのあたりは事前に注意すべき問題です。

総合すると、Armプロセッサ採用での互換性に問題がない、普通に使える大画面PCで長時間バッテリー駆動する製品を求めており、今後のAI関連機能を期待したい方にはおすすめできる製品です。

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https://www.asus.com/jp/laptops/for-home/vivobook/asus-vivobook-s-15-s5507/

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