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ASUS Vivobook S 15 S5507QAでCopilot+ PCのAI機能はどうなのか編

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Copilot+ PCのASUS Vivobook S 15 S5507QAの最大の特徴はWindowsで新たに使えるAI機能が利用出来る点です。

AI機能自体は従来のパソコンでも使えますが、インターネットを通してクラウドで処理します。
Copilot+ PCのAI機能は、ほぼ対応パソコン単体でAIの処理が出来るのが特徴です。

ほぼというのは、ほとんどの処理はパソコン自体で出来る物の、一部の処理はインターネット上で処理しています。

詳細は後述しますが、Cocreatorの画像生成での入力した文字の処理はインターネット上で行っています。そのため、インターネットに接続しないと、画像生成系の機能は利用出来ません。(2024年6月現在)

Copilot+ PCの主なAI機能

Recall

Recall(プレビュー) (旧:回顧)
日本語ではリコールと表記されていますが、パソコン操作を記録して、過去の使用を振り返られる機能です。
現時点で5秒に一度操作画面を画像として記録し、画像内に含まれる文字や画像を後で検索できる機能です。

昨日参照用に使っていた何らかのファイルが何だったか思い出せないが、そのファイルで使っていたキーワード、画像などは覚えている。どこかのサイトで調べた内容をまた参照したくなったがどこのサイトかわからない。一昨日くらいに送信したような気がする申し込みフォームをそもそも送っていたか思い出せない。
少なくとも私はこんなことが沢山あります。

そういった、キーワードを元に過去の使用履歴を検索してファイルを探す、直接、その頃の操作画面を振り返る。といったことが可能な機能です。
これは操作ログを記録するので、プライバシー上の問題が発生する可能性もあることからか、Microsoftも正式版までは慎重に提供しようとしているようです。
Windows Insider Previewでのみ利用出来ます。(2024年6月現在)

Live Captions
パソコン使用中の音声をすべてキャプションとして文字を表示する機能は従来からありますが、その文字をリアルタイムに設定した言語で翻訳する機能です。
入力された言語が何でも、すべて自動的に認識して翻訳するので、何語の動画を見ていても、複数言語の話者がいるオンラインの会議等でも自動的にわかる言語になります。
日本語は2024年6月現在で対応していません。

Cocreator
Image Creator
どちらも、画像生成系の機能で、Cocreatorはペイント内で、簡単な完成系のイメージを書いて、その画像の内容を文字で表現するとそれっぽい画像を自動的に生成する機能です。
Image Creatorはフォト内で、文字だけで画像を生成する機能です。

Studio Effects
Webカメラ機能で入力された画像のバックグラウンドを入れ替えたり、画質を改善したりする機能です。

Image CreatorとNPU使用率

SoC内のNPUでAI機能を実現

Snapdragon X Elite

これらのAI関連機能はCopilot+ PCの要件であるNPUを主に使って実現しています。
2024年6月に発売されたASUSのVivobook S 15を初めとした各製品はQualcommのSnapdragon Xシリーズを搭載し、ここに搭載されているNPUの機能を活用しています。

Copilot+ PCのNPUは40TOPS(1秒間に40兆回)の演算が出来る性能が最低ラインとなっていて、従来のパソコンにはNPU自体が搭載されていないので、この演算自体ができません。

Studio Effectsのような機能は従来はCPUなどで演算していましたが、NPUを利用してこれらの機能を計算することで、CPU自体を他のことに利用可能になります。

現時点でNPUをフルに使うのはImage Creatorで画像を連続して作成しているときくらいで、それ以外では40TOPSは全く必要ないです。

おそらく、画像生成系以外なら10TOPSでも十分だと思いますが、今後40TOPS以上が本当の意味で必要な、さらなるAI関連機能を提供する予定なのでしょうか。

従来のパソコン上でのAI関連機能は、NPUを搭載する最新のCopilot+ PCですら圧倒的に上回るAI関連性能を持った、NVIDIAGeForceなどのGPUを使っていました。
このGeForceなどのGPUをつかったAI関連機能は、ゲーミングPCと同様に圧倒的に性能は高い物の、消費電力も圧倒的に高いため、バッテリー駆動時間に大きな影響が出来るという問題があります。
NPUを使うAI関連機能は使えばある程度の電力は消費するようですが、ほとんど気にならないレベルでしか消費しないようです。つまり、ノートパソコンなどでも気軽にAI機能が使えるという事です。

実際にVivobook S 15での発熱や冷却ファンの騒音も、通常時と同様にAI関連機能を使ってもほぼありません。

機能は使える物のAI機能はまだまだ

Copilot+ PCで使える機能はいくつかありますが、Recall(リコール)のようなCopilot+ PC独自のAI関連機能はプレビューだったり、日本語で使えない機能などがあり、機能自体はまだまだだなという印象です。

Recall機能はプレビューの段階ですが、現状でもすぐに何をやったか忘れる私には便利ですし、今後さらに機能が強化されればより使える物になっていきそうです。

Cocreatorなどは思っている画像にするのにある程度の慣れが必要になりますが、内蔵NPUで無料で画像を作り放題になっている事を考えると便利な時代になったなとも思えます。まだ生成AIで画像を作れるようになってから1年ほどしか経っていませんが。

また、個人情報を守ることを積極的に公開しているAppleに比べると、Copilot+ PCの機能がどう使われているのかはよくわかりません。

前述したようにインターネットに接続しないと利用出来ない機能などもあり、Recall含めた情報がどうなっているのかのしっかりとした説明は必要でしょう。

インターネットにつなげないと利用出来ないAI機能

なによりも様々なAI関連新機能は使っていて楽しい

これらのCopilot+ PC関連機能は、バラバラに実装されています。
Cocreatorならペイントソフトから使う、Live CaptionsならOSのアクセシビリティ機能から呼び出すなど、それぞれの機能は、その機能自体を知らないとどこに何があるのかわからないです。
仮にCopilot+ PCを購入しても、何も知らない状態だとこれらの便利機能を知らずにパソコンを使い続ける状態になりそうです。

そんなまだまだ始まったばかりのCopilot+ PCですが、なによりもAI関連機能は使っていて楽しいです。画像生成はいつまでも続けられますし、Recall機能はプライバシー問題が問題ない状態を前提に使えば、過去を簡単に振り返られて便利ですし、おそらく他にも様々な機能が追加されていくでしょう。

この機能を使う上で重要なWindows Copilot Runtimeに対応する様々なソフトも今後増えていることは確実でしょう。

将来が期待できる機能なことは間違いないです。