ITライター上倉賢のAll About

IT系ライターによる日常

YouTubeで拒否している美容系の不快な広告が表示され続ける問題

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YouTubeの広告はGoogle広告のプラットフォームで配信されていますが、広告が表示された際に表示されないようにしたり、広告のパーソナライゼーション設定を行っていたとしても、広告を拒否できない場合があります。

この原因は、簡単に言えば広告の配信システムは複雑で何らかの問題があるからです。最も大きな原因はGoogle広告のシステムの問題だと予想されます。

不快な広告はもちろんですが、ユーザーが望まない広告を表示してもその広告自体は何の意味もありません。その結果、広告が表示される媒体の信頼度が低下し、媒体側に不利益になるだけでなく、広告主、Googleもそんな状態では利益を生まないので早急な対策が期待されます。

不快な美容系広告は違法ではないか

そのようなGoogle広告のシステムの修正はともかく、不快な広告が表示されるのは、日本で違法な広告の可能性もあります。

違法だとされれば、Google広告側のシステム改修、広告審査の厳格化が期待されます。

該当法律

医療関係の広告の場合は薬機法(医薬品医療機器等法)の誇大広告に関する第66条

第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 | e-Gov法令検索

不禁止する景品表示法不当景品類及び不当表示防止法)不当な表示を禁止する第5条

第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。

 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

不当景品類及び不当表示防止法 | e-Gov法令検索

 

あたりに違反している可能性があります。

行政の相談先

この件について行政への相談先は

消費者庁の消費者ホットライン
http://www.kokusen.go.jp/map/

ネットの広告もJAROが扱っています 日本広告審査機構
https://www.jaro.or.jp/koe/

消費者庁への景品表示法違反に関する情報提供
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/contact/disobey_form/

化粧品広告の問題については日本化粧品協会
https://japan-ca.jp/call/

あたりが相談先になります。

多くは小規模の業者なので、広告主を個別に潰してもイタチごっこになる可能性があります。
明確に違法だとされれば、Google広告の審査が厳しくなり、そのような広告の出稿は今後難しくなるでしょう。

 

日本のYouTuberもアメリカのW-8BEN登録が必須になります

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日本のYouTubeパートナープログラム参加者(収益化している人)もアメリカの税務情報W-8BEN登録が必須になります。しなくてもいいですが、しないとアメリカに24%が源泉徴収されます。(そのうえ日本でも税金とられます)

背景

アメリカでは2020年11月からアメリカのYouTubeパートナープログラム参加者に税務情報の登録を必須にしていました。
その時に予告されていましたが、アメリカ以外の参加者も3月10日付で登録するようにアナウンスがでました。
早ければ2021年6月に源泉徴収する可能性があるので、2021年5月31日までの登録を推奨しています。

Google は、米国内国歳入法第 3 章に基づき、税務情報を収集し、源泉徴収を行い、内国歳入庁(IRS とも呼ばれる米国の税務当局)に報告する義務

https://support.google.com/youtube/answer/10391362

この登録はアメリカの法律に基づいたものです。(今までなぜやってなかったのかは不明)

日本在住者はどうしたらいいか

日本とアメリカは日・米租税条約というのを結んでいます。

その12条の1がYouTubeで適用される項目で、アメリカでは税率0%で設定出来ます。

租税条約等の詳細は

https://sites.google.com/view/teampe/youtube/YouTube-policy-commentary/YouTube-us-tax-income-w8ben

を確認してください。

つまり、日本で納税の義務があるYouTubeパートナープログラムに参加している日本在住の日本人は、しっかり設定すれば従来同様にアメリカに源泉徴収されません

日本国外に住んでいる日本人、日本に住んでいる外国籍の方などは、各国の税法等に従ってください。

実際の所どう設定したら良いか

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注意点
名前、住所等は英語で書きます(日本語は入力できません)
戸籍上の名前とか書いてありますが、日本の役場に登録されている漢字の名前ではなく、パスポートに記入するアルファベットベースの名前を書きます。
外国のTINとは日本ではマイナンバーのことです。マイナンバーカードは不要です。必要なのは手で入力する数字の番号だけです。

パソコンのWebブラウザで設定してください。
iOSなどモバイル端末からは設定しない方が良いです。国選択でトラブルが発生します。

一般的な個人のアカウントで設定する場合の例

AdSenseの設定画面に行く

AdSenseのお支払い
設定-設定を管理する
アメリカ合衆国の税務情報

税務情報の追加
講座の種類はなんですか? 「個人」
米国民であるか、米国に在住してますか 「いいえ」
W-8納税申告用紙タイプを選択 「W-8BEN」

納税者番号
個人名 パスポートで登録しているアルファベットベースの名前を入力するのが普通(税務書類に記載されている個人名は日本の漢字の名前ではありません。漢字は入力できません)
DBAまたは事業体 入力しない
国籍 日本
納税者番号 外国のTIN (日本のマイナンバーを入力)
外国のITINまたはSSN 入力しない

住所 (漢字では入力できません、海外通販のように正しいアルファベットベースの住所を入力します)
お住まいの国や地域 日本
郵便番号 ハイフンなしの数字
都道府県 選択する
市区郡 アルファベットで入力
住所1行目 (市区郡以下の何とか町何丁目くらいまでを入力)
住所2行目 (上で入力した続きを入力)

普通は「送付先住所は定住所と同じである」をチェック

租税条約

「はい」をチェック(条約があるので)

日本を選択

特別な料率や条件でサービス、映画とテレビ番組、その他の著作権があるので、AdSenseのサービスは入力しないでもいいですが、出てるならついでに設定しておいてもいいです。

AdSenseの設定をするなら 第7条第1項 0% とします。

それ以外は 第12条第1項 0% とします。
適時、理由の欄などをチェックします。

書類のプレビュー

書類がPDF版として出力されます。内容を確認して名前やマイナンバー、住所等が間違ってないか確認し保存します。

この書類自体はどこかに送信する必要はありません。

正しいをチェックします。

納税証明

戸籍上の姓名 (パスポートに記載する個人名をアルファベットベースで入力します、漢字では入力しません)

本人が入力しているなら「はい」を選択します。

米国内で行っている活動とサービス、および宣誓供述書

米国内で行っている活動とサービス 「いいえ」(普通は行ったことがないので)

税務上の地位の変更に関する宣誓供述書

「過去にお支払いを受け取ったことがある既存のお支払いプロファイルの税務情報を提出します」(すでにAdSenseから支払いを受け取ったことがある場合はこちらです。ほとんど全ての収益化済みYouTuber)

送信

特に最後の「税務上の地位の変更に関する宣誓供述書」はどちらを選ぶべきか悩む方も多いようですが、こちらに記載していることはYouTubeから2021年3月に得た情報から記載しています。
(実際の所どちらを選んでも大差ないと個人的には想像しています)

sites.google.com

画像付きの説明を知りたい方はこちらも参考にしてください。

よくある質問

Googleのこのフォームは何ですか

GoogleからIRS(源泉徴収するアメリカの国税庁)に情報が送信されるフォームです。W-8BENの入力のためにIRSに電話して番号を取得したり、記入した書類を送る必要はありません。
すべてGoogleから情報が送られます。

入力しなかったらどうなりますか

AdSenseから受け取れる金額の24%が2021年6月からアメリカに源泉徴収されます。

源泉徴収されないようにするには2021年5月31日までに入力します。

入力し忘れた、入力が送れた場合はどうなりますか

アメリカに源泉徴収されます。

入力を間違えたらどうなりますか

源泉徴収されたりするのかもしれません。

アメリカに源泉徴収された分はどう処理したら良いですか

税理士に聞いて下さい。日本の外国税額控除、アメリカのIRSから取り返すなどの選択肢があります。

YouTubeは2021年中に入力すれば源泉徴収額が返還される場合もあると説明しています。

ほっといたらどうなりますか

源泉徴収されるだけで特に罰則はありません。

アメリカで源泉徴収されるなら日本で確定申告する必要はありますか

あります。

YouTubeは使っておらずAdSenseだけですが入力する必要はありますか

AdSenseだけの場合は、日本から設定している場合、Googleアジアパシフィック(シンガポール)と契約しているので必要ないようです。

Google LLCと契約している場合は必要です。全世界のYouTube利用者はGoogle LLCと契約しています。

YouTubeで入力する際にAdSenseも入力できますが、念のためについでに入力しておいて損は何でしょう。

結局の所このような説明ではよくわかりません

アメリカの税法に詳しい、会計士、税理士に聞いて下さい。(SNS等で観測していると税理士などが明らかに間違った情報を発信していることもあります)

YouTubeの2020年の広告売上げは約2兆円

Google(本当はAlphabet)の2020年第4四半期(10月から12月)の決算が出て、2020年全体の業績が発表されました。(現地時間2021年2月2日付け)

https://abc.xyz/investor/static/pdf/2020Q4_alphabet_earnings_release.pdf

ここではYouTubeの売上げについて紹介します。

YouTubeの広告が公開されたのが2018年第4四半期からなので、それ以前との比較は出来ませんが、Google広告全体に占めるYouTube広告の割合が徐々に上がっています。

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Google広告とYouTube広告

2019年前半までは11%程度だったのが、2020年に入りQ4では約15%になっています。

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YouTubeの広告売上げ

広告の売上げ自体は前年を大幅に上回り、2019年が152億ドルでしたが、2020年は198億ドル(約2兆800億円)でした。
これにはYouTubeの広告以外の売上げ、チャンネルメンバーシップ、スーパーチャットなどが含まれていません。

チャンネルメンバーシップ、スーパーチャット等含めたGoogleのそれ以外の売上げが含まれるOtherという項目はYouTubeの広告と同等で、このうちどのくらいがYouTube関連なのか気になるところです。

YouTube関連は広告関連等で新しい取り組みもしているので、来年以降もさらに伸びる事がよそうされています。(決算発表のQ&Aでいくつか語られています)

例えばYouTube Premiumの契約者数は3000万人だそうで、月間ユニークユーザー20億以上の1.5%程度です。

このユーザーが年間100ドル払っていた場合は、これだけで30億ドル(3000億円)になります。

YouTube Premiumの価格は国によって異なるので、3000万人の契約者数でこの数字にはなりませんが、広告収入の15%くらいの有料契約者からの収入があります。

YouTubeは広告以外にも大きな収入源ができつつあります。

YouTube 2020年のまとめの数字関連まとめ

毎年初頭にYouTubeのCEO Susan Wojcickiが去年と今年の状況を説明するブログと動画を公開しています。

長々といろいろ説明していて結局なんだかよくわからないので、数字に関連する部分だけをまとめました。ブログと動画で紹介している内容は少々異なりますので、詳細は両方確認してください。

blog.youtube

youtu.be

2020年の視聴時間等

第1四半期 世界中で総再生時間が25%増加
2020年 YouTube Gaming 1,000億時間以上の視聴
2020年の上半期には、ライブストリームが45%増加
2020年に50万以上のチャンネルが初めてライブストリーミング 1,000万以上のストリーム

Premiumの登録者は第3四半期に3000万人

クリエイターの収益

YouTubeパートナープログラムの新規参加は昨年比2倍。

広告以外のスーパーチャット、チャンネルメンバーシップなどでの収益の大部分を占めるチャンネルは3倍になった。

YouTubeは過去3年間にクリエイター、アーティスト、メディア企業に300億ドル以上支払った。

Oxford Economicsのレポートによる2019年のYouTubeのエコシステムは
アメリGDPの約160億ドル、345,000人のフルタイムの仕事に相当
イギリス GDPの約14億ポンド、3万人のフルタイムの仕事に相当
フランス GDPの約5億1500万ユーロ 15,000人のフルタイムの仕事に相当

クリエイターの例

ブラジルのJorge & Mateusは4000万回以上視聴 

インドのRachana Ranadeは金融リテラシーのチャンネルメンバーシップで10万ドル。

6年前は苦労していたBrandon Reed。その後勉強して始めに受け取ったのは100ドル。今では2.5億回再生されている。

COVID-19関連

COVID-19の情報パネルは4000億インプレッション

新サービス、ユーザーの動向関連

YouTubeショート 1日35億回再生

商品購入時に70%がYouTube動画を参考に

77%が学習にYouTubeを使った