ITライター上倉賢のAll About

IT系ライターによる日常

インテルの第11世代Coreプロセッサー(Tiger Lake)とは

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インテルは第11世代のCoreプロセッサーを2020年9月2日(現地時間)に発表しました。

10nmプロセスで製造される第10世代のコードネームIce Lakeの上位版で、コードネームはTiger Lake。つまり、今回発表されたのはノートパソコンなどで使われるモバイル向けプロセッサー

インテルが10nm SuperFinと呼ぶ最新世代のプロセスで製造され、最新のProcess-Architecture-Optimizationモデルで言うと、Optimizationにあたります。

マイクロアーキテクチャーの改良点

マイクロアーキテクチャーはIce LakeのSunny Coveから、Willow Coveへと変わりました。主な変更点はキャッシュ、セキュリティ機能。新しいインストラクションも追加されていますが、Sunny Coveでの大幅な変更と比べると細かな改良にあたります。

主要な機能の改良点

主要な改良点は、GPUの強化、Thuderbolt 4、USB 4への対応です。

GPUはXe-LPとなり、Ice LakeのGen 11に比べて2倍の性能になっているそうです。このGPUを搭載している場合は「Intel Iris Xe Graphics」という表記がされます。

インテルのCPUではローエンド版は機能を絞った物が搭載される場合もあるので、GPU機能に注目する場合は表記を確認しましょう。

Thunderbolt 4は、USB 4としても使える物で、Type-Cの形状をそのまま利用します。

主要な製品ラインナップ

従来のインテルのCPUはHシリーズやYシリーズなど、TDPによって製品のカテゴリが分かれていましたが、UP3やUP4という分類になります。

UP3(12-28W)

Core i7-1185G7 4コア8スレッド、3.0GHz(4.8GHz)、キャッシュ12MB、Iris Xe

Core i7-1165G7 4コア8スレッド、2.8GHz(4.7GHz)、キャッシュ12MB、Iris Xe

Core i5-1135G7 4コア8スレッド、2.4GHz(4.2GHz)、キャッシュ8MB、Iris Xe

Core i3-1125G4 4コア8スレッド、2.0GHz(3.7GHz)、キャッシュ8MB、UHD Graphics

UP4(7-15W)

Core i7-1160G7 4コア8スレッド、1.2GHz(4.4GHz)、キャッシュ12MB、Iris Xe

Core i5-1130G7 4コア8スレッド、1.1GHz(4.0GHz)、キャッシュ12MB、Iris Xe

Core i3-1120G4 4コア8スレッド、1.0GHz(3.5GHz)、キャッシュ8MB、UHD Graphics

従来はPCメーカーが独自でCPUの能力を一時的に引き上げる、例えばVAIO True Performanceのような機能を実装していた場合がありました。

今回からTDPの幅が公式に広がるため、動作周波数や発熱、冷却のバランスをどうとるかでPCメーカーの技術力の差が出てきそうです。

Project Athenaのブランド名はIntel Evo Platform

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薄型の軽量のノートパソコンを推進するProject AthenaはIntel Eve Platformというブランド名を使うようになるようです。

www.intel.com

 

 

液体金属グリス採用のゲーミングノートPC ASUS ROG Zephyrus M15を試す

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ASUSの薄型ゲーミングノートPCシリーズのROG Zephyrus M15が発表されました。

ROG Zephyrusシリーズは、薄型などのそれぞれ特徴があるゲーミングノートパソコンシリーズです。

今回のROG Zephyrus M15では15.6型液晶を採用し、厚み19mm程で重量が2kgの筐体に第10世代のIntel Core i7-10750H(6コア12スレッド)を採用、メモリは16GBなどCPUの強化と細かな部分で改良が加えられた最新製品です。

2020年9月2日発表されたモデルは次の2モデルです。

ROG Zephyrus M15 GU502LW 25万円程度

NVIDIA GeForce RTX 2070 Max-Q、1TB SSD

4K 60Hz

ROG Zephyrus M15 GU502LV 20万円程度

NVIDIA GeForce RTX 2060 Super、512GB SSD

フルHD 240Hz

薄型ゲーミングノートPCで気になる発熱の処理

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薄型製品で気になるのが、CPUやGPUの発熱がキーボード面まで伝わって熱くて使えなくなる。熱くてパフォーマンスが出なくなるという問題です。

CPUやGPUをどう冷やすかは特にノートパソコンでは重要な課題で、ファンやヒートシンクの形状など各社様々な技術を駆使していますが、その中でCPUとヒートシンクを接続するグリスも重要です。

このモデルではCPUと冷却モジュールの取り付けに使うグリスにThermal Grizzly社の液体金属を採用しています。

グリスも低価格な物から今回のモデルで採用された液体金属のような高級品までいくつかあります。実際にグリスを変えるだけでCPUの温度が10℃以上変わることもあるようです。

4Kモデルは綺麗な画面でクリエイティブ用途などに最適

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今回は4Kモデルを試用しましたが、画面の発色も良く、高精細なので動画編集など、パフォーマンスが必要なクリエイティブ用途でも全く問題ありません。

ゲーミングPCですが、天面もシンプルで、筐体全体もそれほどの派手さもなく、派手なゲーミングPCをクリエイティブ用途に使って悪目立ちすることもないでしょう。

キーボードのイルミネーションなどは落ち着いた色に設定も出来るAURA Syncに対応しています。

メモリが16GB、ストレージが1TBなので、同社のROG Strixなどに比べればスペックは落ちますが、一般のノートパソコンより圧倒的にパフォーマンスが高いため、薄く軽く持ち運べるノートパソコンで、クリエイティブ用途に問題なく使えます。

発熱はどうなのか

ゲーミングノートPCなので、実際にゲームを数時間遊んでみても、パフォーマンスが落ちることもなく安定してゲームが遊べます。

冷却ファンは常に回りっぱなしなので、ファンの騒音は結構気になります。ヘッドフォンをすればほとんど聞こえなくなるレベルなので、内蔵スピーカー等で遊ぶ場合以外は問題ないでしょう。

今回の試用モデルは4K 60Hzなので、外付けのモニターにThunderbolt 3経由のG-SYNCで接続してみました。

ゲームにもよりますが、高いフレームレートでゲームを楽しめるので、普段は4K液晶で作業をして、自宅などでバリバリゲームをするならフレームレートの高い外部ディスプレイを接続するのが良さそうです。

問題は巨大なACアダプタ

ゲーミングノートPCの直近の課題は本体サイズと比較してACアダプタが大きすぎる点ですが、このモデルでも巨大なACアダプタを搭載しています。

Thuderbolt 3のポートでUSB Power Deliveryにも対応していますが、実際に試すと私の手持ちの一般的なノートパソコンで問題なく充電できる機器では実用に耐える充電速度は出ませんでした。

せっかくの薄型軽量ノートパソコンなので、持ち歩きで邪魔にならないACアダプタがあると、持ち運び時の総重量の削減が出来ますので将来モデルでの対応を期待したいです。

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キーボードのストロークは薄型ながら十分な量を確保しています。

右端にはファンクションキーが縦に並んでいるタイプです。

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本体左側のインターフェースは奧から、電源、有線LAN、HDMI、USB、ヘッドフォン・マイク

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右側のインターフェースは奧からUSB、USB、Thunderbolt 3。

インターフェース類は必要十分な量がそろっています。

 

 

BTSのDynamiteがBillboard Hot 100で初登場1位になったそうです。

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Billboardの記事

Billboardの記事によればBTSのDynamiteが初登場1位になったそうです。

アメリカの音楽チャートで韓国のアーティストがトップになったという事でニュースになっていますが、この状況を確認してみます。

www.billboard.com

Billboardはだいぶ前からUSでのフィジカル販売数、デジタル販売数、ストリーミング再生回数、ラジオ再生回数、SNSとかの注目度などを総合したチャートで、単にCDの販売枚数だけでは決まりません。

BTSのDynamiteは各分野でだいぶ数字が多かったようで、記事によると

ストリーミング再生回数 3,390万回

フィジカル販売数 30万枚

ラジオ再生回数 1,160万回

だったそうです。

YouTubeの再生回数は2.6億回

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BTS DynamiteのYouTube再生回数

再生回数が外部から見てよくわかるYouTubeのミュージックビデオの再生回数はアップロードから約1週間で2.6億回でした。

BillboardはUS、YouTubeは全世界なので、他のストリーミングサービスの回数もあるので、YouTubeの再生回数は1/20以下しかBillboardでは対象になっていないのでしょうか。

長期間チャート上位をキープしている曲の再生回数を見る

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The Weeknd

一方で、もう半年近くチャート上位をキープしているThe WeekndのBlinding LightsはYouTubeに様々なバージョンがありますが、主要なビデオ2本が7から9ヶ月かけて約5億回再生です。

他のカテゴリもありますが、このくらいの再生回数で十分チャートトップを維持できるわけです。

www.youtube.com

今後、別のチャートのAmerican Top 40や、今後数週間の状況をウオッチしたいと思います。

再生回数などの数字は2020年9月1日現在(日本時間)

 

 

dynabookの8K映像編集PCシステムはモバイル8K編集システムとしては現実的な落とし所

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dynabook 8K映像編集PCシステム

dyanbookがdynabook Z95とThunderbolt 3接続のGPUボックスを組み合わせた8K映像編集PCシステムを発表しました。

dynabook Z95は今回のシステム用に発表された新モデルで、Core i7-10710U、32GBメモリ、1TB SSD、4K対応の15.6インチIGZO液晶を搭載しています。

dynabook Z95自体は単体販売せず、このシステムでのみ提供されますが、dynabook Zシリーズは大型液晶ながらZ95の場合は1.425kgの重量で持ち運びも現実的なハイエンドノートパソコンです。

dynabookには現行モデルでいわゆるモバイルワークステーションのラインナップがありませんが、今回のシステムは8K映像編集に対応できるノートパソコンとしては現実的な解決策になっています。

8K編集システムに必要な事

8Kの編集では、最終的に8K環境で画像の確認が必要ですが、そのためには8Kモニターが必要になります。(8K環境で確認せずに動画を作成すること自体は出来ますけど)

8Kモニターに8K映像を出力するには、4KのHDMI端子4本で接続するか、8K対応のHDMIやDisplayPort端子、ケーブルを利用する必要があります。

現行で8K対応の端子を搭載するモニターはありますが、8K出力にケーブル1本で対応するビデオカードが存在していません。(筆者調べ)

今回の8K映像編集PCシステムも、4本のHDMI端子を利用する形式です。

8Kは4Kの4倍、フルHDの16倍の解像度なので、データも大きく、問題なく処理するにはかなりのパワーが必要です。そのためにはNVIDIA Quadroのようなグラフィック処理などに適したGPUが必要になります。

今回は、Thuderbolt 3接続の外付けGPUボックスにNVIDIA Quadro RTX 4000を採用したシステムでその環境に対応しようとするシステムです。

Quadro RTX 4000は一つの端子で8K出力できないので、仮にノートパソコン単体で8K対応するためにモバイル版を採用すると、4つの映像出力端子が必要になります。

現状ではモバイルワークステーションに4つの映像出力を搭載するのは非現実的ですが、外付けGPUボックス経由で接続することになるのが現実です。

メモリやストレージもZ95の32GBメモリ、1TB SSDでは十分とは言えませんが、モバイルでの編集システムとしてはとりあえず問題なく利用出来るレベルにはあります。

CPUもより高性能な方が適していますが6コア12スレッドなので、モバイル可能な編集システムとしては問題ないでしょう。

このあたりの基本スペックが充実した編集環境はワークステーションクラスになるので、じっくり編集するには編集スタジオなどでワークステーションを使ってしっかり編集。客先、ロケ現場などで確認、編集する用途として現実的な所に納めてきたのが今回のシステムでしょう。

今回のGPUボックスは、一般的に市販されているNODE TITANをそのまま利用しています。

自分で似たような構成を組み合わせることも出来ますが、dynabook Z95、NODE TITAN、NVIDIA Quadro RTX 4000、Adobe CCの組み合わせをdynabookが動作保証しているのがポイントです。

システムの価格は40万円台後半ということなので、dynabook Z95が25万円、NODE TITAN 5万円、NVIDIA Quadro RTX 4000 15万円と考えると妥当な価格設定です。

仮に、よりハイエンドなNVIDIA Quadro RTX 5000にした場合はこれだけで30万円程になるため、60万円くらいの構成になります。

8K以外に出来る事

ハイエンドなGPUカードを採用しているので、8Kの動画編集以外にも、CADなどのクリエイティブ用途、AIや機械学習にも利用可能です。

普段は持ち運びが出来るパソコンとして使用し、机の上で使う際にはGPU Boxにケーブル一本で接続のような事も出来るので、モバイルパソコンとして普通に使用しながら、ハイエンドな環境の使用でも耐える製品になっています。

今後の8K編集システム

今回のdynabookのシステムは、現状で現実的なシステムとして無難な構成ですが、ケーブル1本で8K出力出来るようなビデオカードの登場、それに対応するモバイルワークステーションの登場が待たれます。

そうなれば、今回の様にGPUボックスを使わないでも、モバイルワークステーション1台での8K編集システムも問題なく動作するでしょう。

当面はCPU、メモリ、ストレージ含めて8Kを満足に編集するには数世代の進化が必要になるでしょうから、このようなGPUボックスを組み合わせたシステムは、8Kやハイエンドなクリエイティブ作業環境での利用は現実的な選択肢になると思われます。

シャープ 70V型 液晶 テレビ AQUOS LC-70X500 8K 2017年モデル

シャープ 70V型 液晶 テレビ AQUOS LC-70X500 8K 2017年モデル

  • 発売日: 2017/12/01
  • メディア: エレクトロニクス